けーはち

英雄十三傑のけーはちのレビュー・感想・評価

英雄十三傑(1973年製作の映画)
3.1
京劇の有名演目である唐末の英雄伝「十三太保」をモチーフとした古装片(時代劇)。遊牧民の英雄王“独眼竜”李克用と13人の養子による最強軍団が、後梁の朱全忠の謀によって切り崩されバラバラになる。強豪の男が剣だけでは抗えず儚く散る「滅びの美学」を噛み締める(幕末の新選組とか)好きな人は好きな奴。本作に関してもシンプルな武侠片以上のチャン・チェ監督の意気込みが伝わるが、古装片らしい合戦や行進シーンはスピード感やスケール感が伴わず同じような場所を往来。香港の南国的な丘陵地では広大無辺たる大陸の中原感を出すのに不足、ロケ地の限界を感じる。また英雄13人のキャラがイマイチ、劇中実質主人公2人と裏切者2人、後はその他大勢となっちゃうのがしんどい(13人はちと多い)。ティ・ロンの美しい殺陣の末の仁王立ちの大往生、そしてデヴィッド・チャンが馬に引かれ五体バラバラの血を引きずった跡が残る肉塊になってショッキングな悲劇からの救いなき悲壮な締めは余韻を残す。