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ベンジャミン・バトン 数奇な人生のugaのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ベンジャミン・バトンという一人の男の生涯をまるっとまとめられた映画。


老人の容姿で生まれ、段々若返っていくベンジャミンの生い立ちストーリー。生まれた時は老人でよぼよぼの赤ちゃん。最初は骨年齢も老化していたから歩けなかったが、徐々に歩けるようになり、メガネが無くても生活できるようになる。
周囲の冷たい目もなくなり、中年期まではとても生き生きした人生体験が映される。しかし物語終盤にて初恋相手のデイジーとの間に子供をもうけた時、「自分は父親にはなれない」と気づく。若返っていくこの身体は最終的に赤ん坊になっていくだろうと悟ったベンジャミンは、デイジーに二人も世話させたくないと思い、何も言わずに出ていってしまう。世界を放浪し、一度は成長した娘とデイジーに会いに戻ってくるが、またどこかへ姿を消してしまう。
そして最後にはデイジーは育てられた孤児院から「記憶がない少年を保護した」との連絡を受け、孤児院に向かう。するとそこには幼い少年になったベンジャミンがいた。少年の姿にまで若くなってしまったベンジャミンだが、中身は老人になっていたため認知症が入っていて自分のことが誰かも分からなくなっていた。
デイジーは結局毎日孤児院に行き、ベンジャミンの世話をした。そして衰弱していくベンジャミンを看取ったときには彼はもう言葉も話せず歩けもせず、乳児の姿になってその生涯を終えてしまった。


周りは老いていくのに自分はドンドン若返ってしまうというのが最後の方きつかった。周りとベクトルが違うのはどれだけ孤独なことなのか。
その中でも幸せを見つけようと生きたベンジャミンはとてもメンタルが強いと思った。本当に頑張ったと思う。
実話ではないがもしこういう病気があったらなんて悲しいんだと思ってしまった。でもその悲しい運命の中にもたくさんの人との出会いや楽しい経験であふれており、ベンジャミンの人生は明るくも感じられた。その生きるのが難しい身体で運命の人をみつけ、最後にはその人に看取られながら死ぬことができたのは幸せだったんだろうなと思った。
もし自分が神なら、ベンジャミンの来世は「父親」として生きられるようにしてあげたいなと思った。
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