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八甲田山のTAKEZOHのレビュー・感想・評価

八甲田山(1977年製作の映画)
5.0
評伝『鬼の筆』出版記念 戦後最大の脚本家 橋本忍 にて鑑賞
「冬の八甲田山を歩いてみたいと思わないか」人生二度目の劇場での雪中行軍敢行!?
 日ロ戦争を目前にした明治34年11月寒地装備、寒地教育の不足を痛感していた……
ロシア軍と戦うために厳冬期の八甲田を踏破し、寒さとはいかなるものか、雪とは何かを調査、研究する必要があった。
弘前第31連隊 徳島 青森第5連隊 神田
双方から青森、弘前を出発して八甲田ですれ違うという約束をするのだが、世界最大の山岳遭難事故が起こってしまう……
 この対照的な指揮系統は、よく組織論に使われることがあり、映画製作過程は日本映画界メタ構造ともとられている。
案内人を頼り、敬意を称し、少数精鋭で十分な装備と準備、上官に現実的な理論を苦言する徳島、
別隊への意識とプライドから次から次へと要求が増えてなかなか纏まらない中、大隊でついてきた上官は案内人はいらないと勝手に追い払い、部下との板挟みになりながら奮闘する神田だが、状況が雪だるま式に悪化の一途を辿り、勝手に抜け出して行く隊員がでる始末の悪循環の極みの青森第5連隊は、正に三人寄れば文殊の知恵というが、纏まりのない組織は烏合の衆に成り下がることをこれでもかと教えてくれる。
「田代まで2キロ……雪とは一体何なのか?」「天は我々を見放した!!」
神田の絶望感は何回見ても胸迫るものがあり、 そして3年がかりの雪山での撮影は壮絶なドキュメント性も含んでおり、今見てもこの白い地獄には世界の名だたる名画に肩を並べるに相応しい前人未到の大スペクタクル感がある♪
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