TAKEZOH

カード・カウンターのTAKEZOHのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
3.5
一度染まったら落ちない罪と哀愁が織りなす甘美なる煉獄!?
街から街へ、無為に宛てもなくポーカーに、ギャンブルをする姿は巡礼のようにみえて、華やかな町、イルミネーションのシーンなのに虚無と空虚感すら感じる。
復讐を望み、主人公に持ち掛ける若者と、若者に復讐よりも投げ出した人生をやり直させたい主人公。
両者の思いがすれ違うが、そもそも二人とも最初から噛み合ってないのだ。
他人が幸せになれば自分も報われるのかもしれないという驕りは、他人への救済が本当に彼の救済になるかは別なのだが、後半主人公が強引な方法で若者に更生させようとするその方法は奇しくも「理性を失ったプレイヤーは暴走する」という本人がポーカーと拷問時の己の事を言っていたことであり、他者に自分が思う幸せを押し付けた結果と若者の行動が皮肉がすぎる……
罪に問われず己に罪を被せた男を見つけ、自分の罪を知っている若者に復讐を持ち掛けられる……という出来事は主人公が己の中で抱え込んでいる罪と向き合うための啓示のように見えた。
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