ベルベー

黒い十人の女のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

黒い十人の女(1961年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ブラック!画面もブラック!話はそれ以上にブラック!!現代に置き換えても面白い、クズ男に狂わされた10人の女たちのブラックコメディ。

まずオープニングが格好いい。61年ってことは、今から60年前!!?カッコ良すぎるよ…今のドラマや映画でも、この手法用いられてるもんね。まあ本編はそんなクールな感じではないんだが笑。

船越英二演じるドクズのTVプロデューサーに振り回され、憎みながらも離れられない女たち。「誰にでも優しいってのは、誰にも優しくないってことよ」を地で行く、物腰は柔らかめでのほほんとした口調なんだけど、言ってることとやってることはクズとしか言いようのない船越英二が怪演。同情の余地がないスーパークズなので、最後どんな酷い目にあっても「ざまあ!」と言えます笑。最後には大好きだった仕事を奪われ、軟禁に近い仕打ちを受けるのですが、なぁに生温いぞ!笑。

彼に振り回される10人の女たち。その中でも特に出番が多いのが4人。本妻の余裕かと思いきや普通に殺意満々だった(そりゃそうだ)山本富士子。ファースト愛人の余裕かと思いきやメンヘラどころかヤンデレに足突っ込んでた岸恵子。未亡人で優しさと臆病さ故にメンヘラの沼にハマっていく宮城まり子。短気で、松吉がダメになったら結婚相手を見つけるなどちゃっかりしている中村玉緒。皆服装や職業がバラバラで、キャラクターを象徴していて面白い。文字通り十人十色な女性を弄ぶ松吉さん…屋上ではまた別の若い娘口説いてたし、マジで最低だな笑。

そんな女たちは不思議と意気投合(?)して、「あんな男殺してやりたいわ」なんて愚痴で盛り上がるわけですが…それをマジに取っちゃう宮城まり子と、「え?殺すの?なんだいそれ、ヒドイじゃないか」と気にしてないようなテンションでガチで怯え出す船越英二。結局、面倒な関係を精算しようと本妻と松吉で狂言殺人を行うわけですが、それもマジにとった宮城まり子が自殺しちゃうもんだから話はどんどん拗れて…腑抜けになった松吉を引き取ったのは意外にも岸恵子、彼女が一番拗らせてましたよという結末。

幽霊になった宮城まり子が、いがみ合う9人を見て抗議の声をあげたり聞こえないことに落ち込んだり、演出も面白い。オシャレな男女の見るに耐えない愛憎劇は、その後のサブカルに多大な影響を与えてると思う!和田夏十すげえ。 その後の市川作品の常連・伊丹十三が爽やか系な役で出てたり、ハナ肇とクレージーキャッツが本人役で出てたり。
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