黒い十人の女の作品情報・感想・評価

「黒い十人の女」に投稿された感想・評価

しの

しのの感想・評価

3.8
山本富士子の佇まい、着物姿に見惚れる。お店の帳簿を取り出す時、タバコを吸う仕草、すべてを切り取っても憧れてしまう。ピストルを出された日にゃもうノックアウトです。
女はいつでも強くてでもやっぱり弱くて、男はそれに無関心で能天気。
船越英二 山本富士子 岸恵子
妻がありながら、ほかに9人の愛人を持つ男、松吉(船越英二)。やがて愛人たちは結束し、松吉を殺害しようと企てるが…。
市川崑監督がモノクローム映像をスタイリッシュに用い、時にブラック・ユーモアも醸し出しながら描く、男と女のピカレスク・ロマンの秀作。その映像センスは後の若者層の流行とも呼応し、時が経てば経つほど人気が高まるカルト映画としても知れ渡っている。女たちに扮しているのは、市川映画に欠かせない岸恵子をはじめ、山本富士子、中村玉緒、宮城まり子、岸田今日子など、日本映画演劇界を代表するそうそうたる面々。
気絶するほど格好良くって掴みどころのない男・風松吉に対する、10人の女たちの復讐譚。
こんな筋立てなのにベッドシーンがないのが素晴らしいな。その代わりに繰り返される、風さんの食事する姿が印象的。メタファー。
ミイコ

ミイコの感想・評価

3.0
中村玉緒さん、かわいいなぁ。

風さん、そりゃモテるよ。
最後はぞわっ!

このレビューはネタバレを含みます

市川崑の中では今のところ一番好きかもしれんです。

まずキャストが若い。中村玉緒とか、重力の呪いたるや末恐ろしいと思うくらい若々しい。まあ笑った時の表情は現在の玉緒の面影が見えのでシワの印象が強いということなのでしょうが。あとは伊丹十三がちょい役で出ていたりクレージーキャッツがちょろっと出ていたり。
しかしまあ、なんといっても岸恵子と山本富士子でしょう。「黒い十人の女」と言いつつ実のところはこの二人と宮城まり子の三人がほとんどスポットライトを占有しているわけなのですが。他にはまあ中村玉緒と岸田今日子はそこそこ出番もありますが残りはほとんど出番という出番もないですね。「スプリット」における人格のアレみたいなもんだと考えれば。というかオープニングで顔出ししてる人だけで基本的には事足りるわけですな、この話は。
オープニングといえば、船越英二(面倒なので役者の名前で統一)の妻として山本富士子は登場=最初の所有者であり、最終的に彼を物にするのが岸恵子なわけですが、オープニングのそれぞれの演者のバストアップの際に山本富士子は証明ゼロの影の状態から顔を現すのに対して岸惠子はその逆パターンなのですよね。dawnとduskというか。
岸惠子のメイクが露骨で目尻の部分を伸ばしていかにも悪女っぽい感じに仕上げているのが何とも言えない。
細かい演出だと、十人が全員集まって船越英二を殺そうとするときの山本富士子の行動とか注目していると、ほかの女の下駄を一度は整えようとしてすぐにぐちゃぐちゃにするというのが、もはや取り繕う必要がなくなったことを示していたり、あるいは初登場の時点でBLEACHのフルブリング編の表紙もかくやといった陰影の使い方で明らかに山本富士子の悪女な部分を暗示していたりしていて面白い。白黒映画だから余計に影の演出が際立つのですね。

そこへいくと、やはり宮城まり子だけは衣装の白さとか死してなお船越を思っていたり(ていうか思っているがゆえに自害するんだけど)純粋さというか船越への不義なれど清廉潔白実な思いだったということがお話上だけでなく視覚的にわかるようになっているんですね、多分。実のところ、宮城まり子だけが彼に結婚を迫るという、一見すると誰よりもエゴをむきだしているように思える行動も、むしろ彼を思っているからこそであるということがわかるわけだし。

そういう細かい部分はともかく女同士のパワーゲームが観ていて単純に楽しいんですよね、これ。いろんな女に手を出していて、そのことにどの女も呆れてはいるんだけれどそれでも彼を独占したいという気持ちもあり、それによって生じる女たちの駆け引きがこの映画の妙趣。

これはやっぱり女だからこそ成立しうる映画だと思う。もしも男女の性別を入れ替えても、こうはなるまいというのがわかる。というのは、わざわざ生物学的な説を援用するまでもなくメスとオスではその嫉妬の仕方に差があって、男は肉体的な不義に対して女性は精神的な不義への嫉妬心に駆られることが多いわけで、そうなると男の場合はやはりフィジカルなゲームが展開されるかねないし、そもそも十人が集うというようにはならない。もちろん、これは船越の人物像をそのままに性別だけ入れ替えたらという仮定に基づくわけですが、その仮定を立てるとどうしても船越女を巡って血なまぐさい争いになる方が自然ではあるわけです。ものすごくタイムリーなことについ先日ツルゲーネフの「はつ恋」を読み終わったんですが、ちょうど男女の立場が逆になっている感じですが、ここまで露骨な駆け引きが展開されないんですよね。ジャンルが違うので何とも言えないんですけど。

意識的に惑わす女でもない限り、男が結託することはないでしょうし。

なにげに社会構造や男女の仕事観だったりについて、いいセリフが出てきたりしますしね。


ともかく楽しい映画です。絵ヅラ的に派手というわけでもなく、感情を大きく揺さぶられるというわけでもなく、ただ純粋に構造的・物語的に楽しい映画でここまで楽しかったのは結構久しぶりかも。
真名菊

真名菊の感想・評価

4.5
自分にとっての幸せが、誰かにとっての幸せではない。
観終わった後に、そんな感想を抱きました。
十人の女たちと一人の男。
男性一人によって翻弄されている女たち。
けれど、最後には形勢が逆転し、
女たちによって追い詰められていく男。
ポスターの薄暗さも大好きですし、場面によって絵になるような美しさと儚さがありました。
個人的にはとっても好きな映画です。
YUKI

YUKIの感想・評価

3.5
最近今風にしてドラマ化されたみたい。
どこかで見かけた。
原作のこれはかなり良く出来てるって
なにかで読んで、いつか観てみたいと
思っていたらBSでやってくれた。
岸恵子に岸田今日子、宮城まり子、
山本富士子に中村玉緒。
みんなクセがあって存在感がたっぷり。
こんな日本映画、たしかにないかも
-------------
「十人の黒い女」じゃなく
「黒い…」というところにセンスを感じる。

あと現在社会を風刺しているところも。
期せずしてだろうが
東京など都会で顕著な男の女性化、
ひいては少子化を予見してるかのようだ。
その辺が古い映画だが
現在に通じ興味ある作品である理由だと思う
---------------
船越英二が現在でも通じる
軽い嫌味のないオトコを好演している。

でもラスト哀れで惨めったらしい男に成り果てる
その時岸恵子こういうのだ↓

「あなたは影のない人だって
私誰かに言ったことあるけど
現代の社会機構の中に
巻き込まれると誰でもそうなるのよ。
忙しく飛び歩いて
事務的な処理は大変うまくなるけど
心と心を触れ合わせる事ができない生きものに
なってしまうのよ。
女が男に求めるものはもうないのよ、
あなたの中には。
でもあなたは男の形をしている。
だから抹殺されたの」

↑男の形をしているだけの男。
現在の都市部に多い女性化した男性。
それがレスや少子化にもつながる。
60年代既にこのことを指摘していたって
すごくない?
Mina

Minaの感想・評価

4.2
「誰にでも優しいってことは、誰にも優しくないってことよ。」

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8

8の感想・評価

4.5
情が混ざって溶けて気づいたら真綿が首にまわり緩くやわく締められている 肉体を破棄したとしても逃れられない愛の重み 始まった瞬間好みだとわかるハイカラな空気 無邪気で残酷な甘い支配にゾクゾクしました
sksk

skskの感想・評価

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古い映画の女の人たちがすきなんだよね。話し方もグラスの持ち方も、今とは違う。
女の無邪気さと残酷さって、やっぱり惹かれちゃうんだなー。
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