黒い十人の女の作品情報・感想・評価・動画配信

「黒い十人の女」に投稿された感想・評価

K

Kの感想・評価

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Japan Foundation Touring Film Programmeでの35mm上映。日本映画に飢えていたこともあり最高に楽しかった。浮気された十人による男殺害計画が瞬く間に横滑りしていく快感。敗者の幻想的なドライブシーンに痺れる。
マヒロ

マヒロの感想・評価

3.5
テレビ局勤めのプロデューサー・風(船越英二)は、結婚している身でありながら9人もの愛人を作るプレイボーイだった。妻を含めた10人の女は、そんな体たらくの風に愛想を尽かし遂には復讐を企てるが……というお話。

総勢10人もの女性に恨みを買うというとんでもない男・風だが、あんまり悪い奴のようには見えない。…というと語弊があるが、その悪い奴ではないというのがある意味この男の一番困ったところで、劇中で言われる「誰にでも優しいってことは誰にも優しくないってこと」というセリフが全てを表しているように、ちょっと気になったりした程度で誰彼構わず近づいてしまった結果、気づいたら愛人がやたらと出来てしまっていたような節があり、とことん考え無しな行動が原因で知らず知らずのうちにドツボにハマってしまっている。怒る女たちが喋りまくるシーンに風が別の所で呑気にデザート食ったり新聞読んでいたりするカットがインサートされる演出が笑えるが、この男どんなに深刻な時でも常にボケボケしており、どこか空っぽな人間のように描かれている。船越英二という人は他の作品でもこういう主体性のないフワッとしたキャラクターを演じていることが多いが、今作は一つの真骨頂なのかも。

対する10人の女たちは、怒ったり泣いたり喜んだりと感情を表したり自らの意思を持って行動したりと、幸せか不幸せかは別としてみな生き生きとしていて、何考えているのか分からない風と違う明らかに対称的な存在として描かれている。
彼女たちが最終的に風に下す決断は、単純に殺すとかよりも遥かに恐ろしい「人間性(もしくは男性性)の剥奪」とも言えるもので、ゾッとさせられるものがあった。
脚本の和田夏十は監督の奥さんらしいが、果たしてどんな気持ちでこの映画を撮ってたんだろう…。

(2020.16)
nao

naoの感想・評価

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妻の他に9人の愛人をもつテレビ局員の男。10人の女たちは結託して男を殺す計画を企てる。

60年代は女性の社会進出が進んだ時代。
出てくるのは自立した女たち。
恋愛は女性にとって幸福感安心感を与えてくれる存在であるのに変わりはないけど、求めているものを持たない男性なんてこっちから願い下げ…な強い女たちにスカッとする。

白黒映画だけど白昼夢のようなシーンや死んだ人を幽霊として登場させて喋らせる(もちろんCGはないので普通に生きてる人の隣に立って喋る)など実験的でもあって古さを感じない。

本作で10股不倫男を演じるのは船越英二。
女たちの追求をのらりくらりとかわしていく実体のなさはサイテー男に変わりはないのだが、どこか憎めない。今こんな役に会う人そうそういないよね。
ちなみに彼の息子でありサスペンス界の帝王・船越英一郎は本作のリメイクの際に同じ役を引き受けているらしく、そちらも見てみたいとおもった。
―――十股男に、死の制裁を!

三角関係ならぬ十一角関係とも
なると、限りなく円に近くなる?☆

「いっそ死んでくれりゃいいのに…!」
十人の女達の思惑が一致、
男の殺害計画を共謀する。

“モテ男≠イイ男”を体現した、
船越英二の掴み所の無さ。
さらに十一人目(森山加代子)へと
アプローチする節操の無さ。(笑)

それぞれの女と関係するに至った
経緯を悪びれも無く話す夫に
呆れる妻、山本富士子。

「俺なんか、殺すにも値しない
つまらない男だよ?」

身から出た錆を棚に上げ、女達を
疎ましいとすら感じている男が、
清算のチャンスとばかりに、
妻を懐柔して、自らの偽装殺人を
持ち掛けるのだが…。

思ってたのとは違う展開だった
けど、コレがそこそこ面白い。
サスペンスなのかも知れないが、
喜劇や茶番のそれ。

中村玉緒と岸田今日子は、
やはりイイね!
役柄とか露出とかに関係無く、
官能的で実に素晴らしい。♪

女達がもっと十人十色の濃いィ
事情で複雑多岐な絡みを見せ、
温度差もある方が、ドラマに
深みが出て面白かったと思うけど、
2時間尺では描き切れないよね。

リメイクされたTVシリーズでは
その辺り、上手く掘り下げて
描けてるのかな?
主演の船越英一郎が、父である
英二の役をどう演じてるのかも
見てみたい。
女が男に求めるものはもうないのよ、あなたの中には。だけどあなたは男の形をしている。だから抹殺されたのよ。
市川崑監督だけに悪い映画な筈は無いのだが、舞台演劇チックな台詞回しややり取りなどに多少違和感を覚えてしまう。😥

たしかに時代を先取りしたポップでキッチュな美術や衣装等は素晴らしい。しかし内容的には平凡そのもので観終わった後に残る余韻は少ない。テレビ業界風刺ものと銘打ってるからには仕方ないにせよ、こらなら増村保造作品の方が何枚も上手だと思う。

綺麗な女の人がたくさん出てくるので、観ている間は飽きない。そこだけは凄い。モダニスト市川崑らしい手際の良さが堪能出来る佳品。📺
稲渡

稲渡の感想・評価

5.0
女から見た男と、女たちの物語。三輪子の霊が泣いている風のそばへ寄って来て消えるシーンの演出が素晴らしい。ラスト、暗澹たる道行を示していると思わざるを得ない、真っ暗な、真っ黒な夜。ともあれ、彼女たちは男を殺すことに成功したのだ。
女たちにいいようにされてしまう色男船越英二が可愛げがあって、今これがてきる男優は誰だろう?
面白い!冒頭の演出から惹きつけられる。懐古式に語られるミステリー、10人という多めの登場人物を裁く手腕(何人か影の薄い女はいたが)、はぐらかすように語りきらない台詞。最終的には脚本が冴えてくる。女が男を「殺す」とはどういうことか、というのを切実につきとめるラスト
えふの

えふのの感想・評価

4.0
 昭和36年のハーレムの痴話喧嘩。恋人ら一人一人の描き分け(配役)、ややメタな視点を利用した十人の女たちの内紛、どれもうる星といったハーアニメを先取りしたような内容で驚かされる。
 カメラも自由自在で被写体が頭部のアップで上司に向かったかと思えば、平気でラインを飛び越えて画面端に引きこもったり縦横無尽に飛び回る。
 ヒロイン二人の会話に背中を押し分けて入ってきたり、浮気相手と夫の悪癖を並べているとこで障子に描かれた女二人が立ち聞きしているように撮るなど、遊びにも皮肉が聞いていて楽しかった。
 市川崑といえば、犬神家など箱庭のような画を撮る人という印象が強かったが、その考えを改めることになった。
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