改名した三島こねこ

デビッド・クローネンバーグのシーバースの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

3.4
<概説>

孤立した高層マンションの中で展開される、寄生虫感染者の地獄絵図。恐るべき速度で繁殖・感染し、性と暴力を招来する寄生虫に対抗する術はあるのか。奇才デヴィッド・クローネンバーグによる、悍ましきパラサイトパニック映画。

<感想>

クローネンバーグ、本当に閉鎖空間好きですよね。

パニック映画で密室といえばロメロ『ゾンビ』やヒッチコック『鳥』。古来より脈々と受け継がれてきた伝統芸を、きちんと王道の手法でやっているだけにも見えます。

しかしここでクローネンバーグがおもしろいのは、ほぼほぼ一切建造物の敷地外を映さない点。

『鳥』『ゾンビ』で内外を効果的に切り替えていたのを、彼は延々と内だけ映して閉塞的な作風にしている。外が演出されてもせいぜいがマンションの庭地くらいのもので、物語の舞台が非常にコンパクト。

似たようなモンスタースリラーに『スリザー』がありますが、その点非常に対照的で比較していて楽しいです。

そんな訳でこの作品の後は、クローネンバーグ作品の梯子よりも『スリザー』をオススメさせていただきますね。