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ガートルード/ゲアトルーズの1000のレビュー・感想・評価

2.5
アホみたいに続く男女の堂々巡り。愛を語るメディアとして映画は向いてないな、とまで思ってしまった。正確には、映像ではなくセリフを通して愛を問題とする映画は、たいてい見てられない。見てられない理由は単純で、一言ひとことを咀嚼する前にセリフと字幕が通り過ぎていくので、頭に入ってこないのだ。とばっちりでしかないが、ロメール作品の一部が本当に気に食わない理由がわかった気がする。腰を据えて愛について考える時間になりようがないのだ。

察しない男と説明しない女。なんで男は愚かな質問ばかりして、女は残酷な態度ばかりとるのかというと、何割かはホルモンの問題であり、残りの何割かは社会と制度の問題なので、どっちみち自由意志による解決策はないのだ。『ガートルード』はとても普遍的な問題に取り組んでいる点では尊敬できるのだが、『恐怖分子』ほど徹底的にやるせなさを表出するわけでもなければ、『ポゼッション』ほどグロテスクに笑いへと落とし込むわけでもない、中途半端な思索にとどまっている。

アイコンタクトの時間と愛情の量がぴったり比例しているのは可愛げがあるのだが、ワンアイデアで演奏しきるだけのグルーヴはなかった。あとは立ったり座ったりの繰り返しで、絵的に面白くない。
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