こたつむり

トリプルX ネクスト・レベルのこたつむりのレビュー・感想・評価

2.5
♪ Hey Gentleman 
  そんなにそっちの水は甘いか
  Gentleman 
  カビ臭いダイヤでも食らえ

武骨なスパイ映画『トリプルX』の続編。
…なのに主人公は何故か変更。
予算の都合か、スケジュールの都合か…。
どちらにしろ、肩が下がるのは間違いなし(しかも前作主人公の扱いが適当過ぎて…涙が出てきます)。

また、奇も衒いもない物語も残念。
喩えるならば、一方向にしか進めないRPGのマップ(しかも強制スクロール)。「これなら道に迷わない!」なんて言われても、バカにされている気がして、怒るべきか嘆くべきか、迷ってしまいます。

それに配役も微妙な感じ。
正直なところ、選んだ経緯を推測できるレベルでした。アイス・キューブは元犯罪者っぽいから起用、とか。ウィレム・デフォーは悪役っぽいから起用、とか。製作者は何も迷わなかったのでしょう。羨ましいですね。

だから、脚本が薄いのも当然の帰結。
思うに、不要なト書きを省き、内容も出来る限り圧縮して、無駄を削減したのでしょう。これが最先端のエコロジー精神。車は爆発させても、脚本は薄く。森林伐採は脱炭素化社会に逆行しますからね。

そして、演出もベタベタに基本を遵守。
折角、脚本を薄くしたのですから、細部にこだわって奇抜な要素を付け加えたら、スケジュールアウトする可能性大。自動車がレールの上を走る…なんて脚本も、疑う前に実行。それが優秀なビジネスマンです。

まあ、そんなわけで。
「大統領を殺せば、俺が大統領だ!ヒャッハーッ!」という国防長官の野望を阻止する物語。そんな低レベルの発想の持ち主が国務長官になれるのか…?なんて疑問を抱いたら負けです。ご注意ください。

あと、主人公が仲間を募る時に“車泥棒”を選択し、彼らが一流の軍人と互角に戦えることにもツッコんだら負けです。本作に勝つためには、積極果敢に脳細胞を破壊することが近道。鑑賞前に、豆腐の角にアタマをぶつけることをオススメします。
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