takanoひねもすのたり

マッキラーのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

マッキラー(1972年製作の映画)
3.8
ルチオ・フルチのジャッロ(積んでた)
イタリアの片田舎(迷信なども頑なに信じているくらいの所)で起こる少年ばかりを狙った連続殺人事件の話。

英題でも原題(Non si sevizia un paperino)で、アヒルの子を虐めないで、って何のこっちゃい、おまけに邦題のマッキラーって何だ?
……と思いつつ観てたら、マッキラーは中盤くらいで分かったものの、原題に至っては終盤でようやく合点が。

悪ガキマセガキの男の子3人が次々と殺され、呪術師の女性に容疑がかれられるものの、彼女は「呪いの人形で子供達を呪ったが、絞殺はしていない」
や……ややこしい供述……💧

呪いはともかく子供達はあきらかに殺人だったので彼女は釈放されるが、なにせ迷信深い村。
あっという間に「あの女が呪いをかけたせいで子供が死んだ」と噂が駆け巡ったものだから、村人総出でシカト&リンチ。

子供を呪う女、憎しみ(復讐)で獣性を現にする村人、瀕死で助けを求めても次々通り過ぎる車……誰も彼も血塗れで助けを求める女性の姿を見ているのに素通りできるほうが怖い。

ラストは匂わせ程度ではありますがショタコンでペドフィリアで聖性を重んじ……までは良いものの、エゴが昂じてチャイルドマレスターへの階段を上がってしまった犯人の末期でエンド。
子供は清らかなままであれ肉欲に溺れてしまう前に神の身許へ……って(分かりやすい動機だけどもエゴイストだなあ)

彼(犯人)の墜落と岩石に顔面が抉れてゆく様をみせるのはフルチさんらしい凝りよう。
美しかった顔がどんどん真っ赤に醜い肉の塊になっている様子は見どころ。
(でも緩やかな斜面なのでちょい強引かもw)

もひとつ見どころはバーバラ・ブーシェのフルヌード。
精通後の年頃の少年に向けて、小悪魔らしい、誘いと囁き。
少年が「男」っぽい顔つきに変化した瞬間に「ママが呼んでるわよ」と突き放す、少年の心を掌のうえで転がす遊びを愉しんでいる姿。
さ……流石ラテンの国……早熟……。

原題のアヒルを虐めないでは、子供の頃にお気に入りの人形やぬいぐるみを気に入り過ぎてぶん回したことは誰でもありそうな話ですが、タイトルの意味もそれと似たようなもの。

面白かったのですが、回りくどいタイトルだな……とエンドロールみながらぶつくさ。