デイジーベル

ジョン・カーペンターの 要塞警察のデイジーベルのレビュー・感想・評価

3.7
「ベンベべ ベベーン♪ベンベべ ベベーン♪」

◯概要と感想◯
オープニングからショットガンの雨(血まみれ)という過剰サービスから始まるこの作品は、実質的なカーペンター監督の商業デビュー作(ダークスターが自主制作という点で)とも言える作品だ。(頭から離れない音楽は今作もカーペンター監督本人だ)

今作は「リオ・ブラボー」に通じる籠城戦ウエスタンを、まるでゾンビ襲撃のような緊張感と、SF映画の様な雰囲気で、全く新しい作品として描き出している。
警官と囚人の協力にはアイロニーを感じつつも熱くなってしまう。多くを語らず、仕草や表情、行動で語る″粋″な演出と、魅力的な登場人物達(特にヒロインのクールな強さには感動してしまう)が作品の魅力を高めている。更に、後の作品に受け継がれていく手法やアイディアの数々。※アイスクリームのシーンでジャンプカットを使わない所にも監督の″粋″な拘りを感じる。
体制(権力)に対して唾を吐きかけつつも、復讐に燃える無法集団をもコケにする。カーペンターはあくまで中立に描く。


◯雑記◯
ヒッチコックのエピソード(悪さして警察署にメモを持たされ行かされた話)や、フィルムノワール風の演出(タバコの火をマッチで付け、火を吹き消す)等、挙げだすとキリがないが、この作品にはとにかく″粋″(男の美学)を感じる。