TAK44マグナム

エクストロのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

エクストロ(1983年製作の映画)
4.2
パパはエイリアン!


80年代カルトSF映画を代表する一作。
所謂「エイリアン」フォロワーであり、女体から卵やらパパが産まれる場面が見どころのひとつになっています。
非常に荒唐無稽で支離滅裂、素っ頓狂な内容で、舞台も一軒のアパート内が殆どのチープさではありますが、変なムードがあってクセになる、隠れたエイリアンものの佳作ではないでしょうか。
エイリアンの造形も逆関節だったり、SFX以外の部分でも演出全般にわたって創意工夫が感じられて楽しいですね。


お話は出だしから快調です。
トニーがパパのサムと遊んでいると昼間だったのに突然真っ暗に!
そして次に強い光と風!
なんだか核爆発みたいですが全然違います。
エイリアンが人さらいにやって来たのです!
サムが木の枝を投げるとバーン!と光に包まれるのは、なんとなく「2001年宇宙の旅」のジャンプカットを大幅にスケールダウンしたみたいな安い演出。
だがそれが良い!



サムがいなくなって3年、妻のレイチェルは新しい恋人のジョーと暮らしていました。
トニーはパパの帰りを信じて疑いません。
そんなトニーの願いが通じたのか、サムは戻ってきます。
ただし、逆関節がキモい宇宙怪人となって!
いきなり車に轢かれるサム怪人。
なにさらすんじゃ、ワレ!と、運転してた男女を殺害、ついでにどっかの家にいた女性の口にチンコを突っ込むと(そうとしか見えない)、女性の股間からサム人間体がにゅるにゅると出てくるではありませんか!(←三池崇史の「牛頭」で似た場面がありますが、三池監督が本作のファンだからパクッたんですってよ)
残ったエイリアンの皮(?)は飼い犬が食べてましたけれど、お腹をこわすぐらいじゃ済まなそう。

中盤はトニー達の元へと戻ったサムがとる不気味な行動をおう展開。
可哀想に間男みたいになってしまったジョーが突っかかったり、お手伝いさんが男を連れ込んでセックスしたりとカオス状態。
観ている側はサムの正体を知っているのが前提なので、「サムの正体が分からない」という得体の知れなさが若干スポイルされているのは残念ですが、それは構成からして仕方ないところですね。

そのあとは驚きの急展開!
超能力が発現したトニーが邪悪なお子様と化し、アパートの住人を殺人ヨーヨーや巨大兵隊さん人形で殺害してゆくトイストーリー凶悪版みたいになります。
階下のいけ好かないババアが兵隊さん人形に殺されるシークエンスは冗談抜きで怖い!
ドアの鍵を破壊した等身大の人形が侵入してくる場面がまるで悪夢のようです!
能面みたいに無表情な人形がぎこちないロボコップ芸みたいな動きで迫ってくる恐怖!
他にも殺人ピエロやラジコン戦車、何故か黒豹まで出てくるんですけれど、この兵隊さん人形が断然怖かったですね!

エイリアンが結局なにをしたかったのか良く分かりませんが、奥さん(旦那)は要らないが子供は欲しいというのは多くの場合、別れる時の共通認識だと思うので非常に説得力のあるラストでした(苦笑)
でも、ちゃっかりセックスはしておくサム。
なんてヤツなんだ、おまえは!


エイリアンや超能力による残酷シーンは直接的なグロさはかなり控えめで、どちらかというと特殊メイクによるエイリアンの変異に力を入れている印象を受けました。
そのぶん、全く必要の無いエロ要素が加えられていて、フランス人のお手伝いさんが脱ぎまくります。
これがまた美人さんでボディも美しい!オッパイなんて芸術品のようです。
なんでジョーはゴツくてオバちゃんなレイチェルとくっついているんでしょうか?
同じ屋根の下にこんなフランス美人がいたら、そっちを口説くだろうに!
このお手伝いさんを演じているのは、のちに「007/リビング・デイライツ」のボンドガールに抜擢されるマリアム・ダボで、本作がデビュー作。
いきなり最初から盛大にヌードになるような度胸があるからこそのボンドガールだったのかもしれませんね。
いや、しかし眼福でした!
ありがとうございます!


なんだか宇宙人よりもオッパイの方ばかり気になってしまいましたが、切なくもバカバカしい家族愛を描いた、カルト化するのも頷けるケッ作だと思います!

・・・で、エクストロって何?って思ったら、まさかの「E.T」をもじったタイトルだったとは!
なるほど、「E.T」の子供達はパパ不在だったものね・・・


劇場(新宿シネマカリテ・カリコレ2018)にて