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『卍/ベルリン・アフェア』に投稿された感想・評価

「愛の嵐」(1973)「ルー・サロメ 善悪の彼岸」(1977)に続くリリアーナ・カヴァーニ監督ドイツ三部作の三本目。谷崎潤一郎の『卍』(1931)の舞台を戦前ナチスドイツに翻案。着物デザインは辻村ジュサブロー。音楽は「キャリー」(1976)のピノ・ドナッジオ。撮影は「ヒート」(1995)のダンテ・スピノッティ。原題「The Berlin Affair(ベルリンの情事)」。

1938年ドイツ・ベルリン。ナチス外交官夫人ルイーズ(グドルン・ランドグレーベ)は知人の文学教授に打ち明ける・・・美術教室に通い始めた彼女はドイツ駐在の日本人外交官の娘ミツコ(高樹澪)に出会う。日本大使館の敷地内にあるミツコの家で着物を着せてもらううち二人は愛し合うようになり逢瀬を重ね始める。その頃、ナチス政権は道徳運動を装って反体制派の排除を開始。ルイーズと夫ハインツは、ハイデン将軍の同性愛スキャンダルを引き起こす陰謀への協力を命じられる。。。

大筋は原作と同じ。舞台を戦前ナチスドイツに移すことで同性愛と異人種間恋愛の禁忌性を高めている。映像は美しく退廃的。高樹澪は猫のようなファムファルを熱演していた。

ただ個人的には増村保造ver,(1964;ミツコ役は若尾文子)を先に観ていて、そのナンセンスな先入観から抜け切れずに観たので、大真面目に演じている世界観に少々違和感を感じてしまった。

原作を知らなかった欧米の鑑賞者たちにはおおむね好評のようだ。それだけでも映画化の意義はあったと思う。欧米のレビュアーの声がとにかく興味深く、本作に最初から否定的な保守的日本人レビュアーの声は個人的には論外。対象作を全面的に美化し誉めそやす心性は、対米従属の似非日本魂を投影していて気味が悪い。

本作の狙いは固定観念を超越する個人の本能を描くことと受けとめた。現在の日本人の右習え気質からは嫌われやすいと思われる。

※本来は121分だが日本版VHSは97分。20分以上カットされているので要注意。
谷崎潤一郎の『卍』を第二次世界大戦前のドイツに舞台を変えて再映画化した作品。高樹澪が全然脱がないのにはある意味驚いたが、キャスティングされたのにも納得がいくほど圧倒的な美しさだった。着物が出てくるのにフェティッシュに撮らない(高樹澪の着物を捲って刺青が見えるところは少しよかったけれど)、肝心の「百合描写」や濡れ場が全く盛り上がらないなど細かい描写が全然ダメダメで物足りない気もする。話は増村版よりも面白かった。
これもキャノンフィルムズ。アケレン監督の「別れの朝」のヒロイン、グルドン・ランドグレーべ(←覚えられるわけない名前)と高樹澪。どちらも美しーー。グルドンさんはFENDI、澪さんは辻村ジュサブローの着物。半襟や帯に髪飾りまでの渋い色合い。80年代anan的でうっとり。舞台はベルリン、音楽はピノドナ。耽美かつだいぶ重厚なトーンなのも気分出してて良い。