ぶみ

幸せなひとりぼっちのぶみのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
3.5
人生をあきらめるはずだった。

フレドリック・バックマンが上梓した同名小説を、ハンネス・ホルム監督、ロルフ・ラスゴード主演により映像化したスウェーデン製作のドラマ。
地域の鼻つまみ者となっているオーヴェが、向かいの家に引っ越してきた家族との交流をきっかけに変化していく姿を描く。
先日観たマーク・フォースター監督、トム・ハンクス主演による『オットーという男』のオリジナル版であり、リメイク版をオリジナルがあることを知らずに観てしまったため、記憶の新しいうちにと思い鑑賞。
主人公となるオーヴェをラスゴード、彼の家の向かいに引っ越してきた家族の妻をバハー・パール、オーヴェの妻ソーニャをイーダ・エングヴォルが演じているが、物語自体は、本作品もリメイク版も、ほぼ同じ展開と言っても過言ではないもの。
オーヴェを演じたラスゴードは、スウェーデンを代表する名優らしく、これもまたハンクスとの共通項。
個々のエピソードも概ね同じであるが、どちらかと言えば、本作品の方が全体的にあっさり目な味付けである反面、主人公のアクの強さは、見た目も含めオーヴェに軍配が上がりそう。
何より、面白かったのはクルマのエピソードであり、リメイク版がシボレーvsフォードに加えてトヨタとなっていたので、本作品ではどんな対決となるのか楽しみにしていたところ、流石スウェーデン製作ということで、サーブvsボルボに加えてBMWだったのは中々粋であり、裏を返せば、リメイク版のセンスの良さが感じられるところ。
総じて、リメイク版の良さは、オリジナル譲りであることに加えて、しっかりと時代に即したアップデートがなされながらオリジナルに対する敬意を感じさせる内容であることが確認できたとともに、私的には、リメイク版の味付けの方が好みだったかなと感じた一作。

サーブに勝る車は、永遠に現れない。
ぶみ

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