イチロヲ

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
領主の裏切りにより山賊の地位に堕とされた元傭兵が、血縁関係をもつ貴族の娘を篭絡していく。報復の連鎖に飲み込まれた男の生態を描いている、エロティック・ドラマ。ポール・ヴァーホーヴェン監督のハリウッド・デビュー作。

本作の監督は、幼少時代を第二次世界大戦のオランダで過ごしており、おぞましく凄惨な情景を実体験しているため、常に死がつきまとっている世界観と本能の赴くままに行動する人間たちの言動が、生き生きと描写されている。

城を占領した元傭兵(ルトガー・ハウアー)が、領主の息子の婚約者(ジェニファー・ジェイソン・リー)を、セックス・マシーンへと調教していく。動物的なセックス描写はさることながら、「婚約者を寝取ったぜ!」と高揚する男の言動が、ひたすら面白い。

女性のもつ「聖性と邪性」または「したたかに生きる能力」が明確に描かれており、監督のブレることのないヒロイン像が、すでに完成形となっているところが興味深い。「Let it go!」(流れに任せて進んで行け!)の真髄を楽しむためのエンタメ作品。
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