ちろる

下女のちろるのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
4.0
心をかき乱すようなピアノの旋律。
ジワジワと心をかき乱す。
誰かの不幸のもとに成り立つ人幸せに痛みを感じない。
貧しい人間を、害虫かの如く見下し、その罪への制裁とは?

「パラサイト」がアカデミー作品賞を受賞した今年、韓国はエンタメのアジアトップへと躍り出たが、その60年も前に同じようなテーマですでにこのようなゾッとさせるような傑作スリラーが作られていたとは・・・
このころの日本映画界には既に世界の小津がいた、クロサワがいた、溝口も木下も成瀬もいたのだからこの頃の考えでは日本の映画芸術に韓国が超えるはずはなかったのだけど、もうこの「下女」で韓国の映画の基盤が出来上がっていたのかもしれない。
もしご健在だったらキム・ギヨン監督は、ポン・ジュノの「パラサイト」を観て何を思っただろうか?
以前観たリメイク版の「ハウスメイド」はもっとあからさまに昼ドラドロドロ系で評判はあんまりでしたが(私は嫌いじゃ無い)、こちらは輪郭のつかめない不気味さへの煽りが絶妙。
イ・ウンシム演じる下女が美人なのに、気持ち悪いあの逝っちゃってる目が同じ女でも狂気を感じて震えます。
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