若い夫婦のもとに一人の男が同居し、やがて三角関係に発展していく…という同時代のルビッチを思わせる映画。こういう内容ならアメリカやフランス映画ならば三人の複雑になっていく関係を軽快にライトに描き、危ういところを回避して無難なオチに持っていくというパターンになるのだが、男二人がダメすぎてどんどん関係を悪化させどうしようもなくなっていくという展開になるのが目新しい。そしてぐずぐずして煮え切らない態度ばかりとる男、愛想をつかしていく妻が迎えるラストの世界は神代辰巳や藤田敏八に近いかも。男二人が女との関係性をはっきりさせることよりゲームに意味なく熱中したり、女への男の中途半端にカッコつけている対応など見るとますますそう思えてくる。
三人の関係をくどくどと描かず、ベッド近くに掛けられた衣装とソファでふてくされる男の描写でどうなったかを示唆される演出が巧み。あと冒頭とラストで列車を登場させ、出会いと別れをイメージさせたりといったモンタージュにこだわった演出や独特の町並みがソ連映画らしい。