菩薩

少年の菩薩のレビュー・感想・評価

少年(1983年製作の映画)
4.2
シャオシェン自身の監督作と比較すればいささかウェルメイド過ぎるきらいはあるものの、あまりにもシャオシェン的としか言い様が無いクソガキ成長譚にただただ歓喜、丁寧な生活・風俗描写も評価に値する。『風櫃の少年』(はどっちが先か分からんが)や少なくとも『童年往時』の雛型として、また台湾ニューシネマの原型の一つとしてもっと早くに観られるべきだったのでは…。父は父で実の子では無い現実を前にどうしても甘やかしがちになり、母は母で苦労の末の子であるからしてきつく当たってしまう、そんなアンビバレントな環境の中ですくすくとグレていく少年はやがて取り返しの付かない悲劇を目の当たりにする事になる。ただこのクソガキのクソガキっぷりがあまりにも可愛く、終盤の急転直下を迎えるまでは終始ニヤニヤが止まらず。年を重ねるにつれ増していく責任、少年がただ少年ではいられなくなる過程が瑞々しく描かれていく傑作。
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