みんと

不安は魂を食いつくす/不安と魂のみんとのレビュー・感想・評価

4.2
ファスビンダー監督4作目。

ダグラス・サークの『天はすべて許し給う』を下敷きに、初老の清掃員と移民労働者の年齢差や境遇を超えた愛と、彼らへの世間の偏見や差別を描く。

表面的には単純でいじめチックなストーリーながら、時代を感じる社会派ラブ・ストーリーだった。
ダグラス・サーク的なベタさが薄く高尚にさえ感じるのは、きっとファスビンダーマジック、いや撮影マジックなんだろうなあ…

ドーンと絵画を背景に、人物を据えたショットは『 ペトラ・フォン・カント~ 』とも重ねたり、バーのショット、奥の部屋を手前から捉えたショット…
と、構図と言い色彩と言い、拘りとセンスが溢れかえる。

また、シュールささえ湛えつつたっぷり間をとったシーンには不思議な余韻も。
これまでは気に留めなかったけれど、カウリスマキ味を感じるなぁと思ったら、やはり影響を与えた監督でもあるらしい。

偏見、妬み、蔑み、孤独、不安、人間の負の感情に塗れながらも、ぽっと心が温かくなるシーンが音楽効果もあって効いてる。

タイトルセンスも素晴らしい!
みんと

みんと