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悪魔のいけにえ3/レザーフェイス逆襲のnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.6
 真夜中のハイウェイを走らせていた若いカップル、ライアン(ウィリアム・バトラー)とミッシェル(ケイト・ホッジ)は、近道をするために荒野を抜けた。しばらくすると、行く手に人皮マスクをかぶってチェーンソーを振り回すレザー・フェイスとそのファミリーが現れる。トビー・フーパーが手掛けた1と2から一転、ジェフ・バーに監督を譲り、自らは裏方に退いた今作。伝説の1の設定を踏襲し、冒頭はガソリン・スタンドから森の中に迷い込み、主人公は最終的にレザーフェイス一家の屋敷に引きずり込まれる。また死のゲームに巻き込まれるのがそこまで大人数ではなく、ライアンとミッシェルという若いカップルに限定し、シンプルな枠組みで見せようとした監督の野心はそれなりに評価出来る。最初は正義の面をしたヴィゴ・モーテンセンが実はレザー・フェイス一家だったというオチもまずまずなのだが、問題はヴィゴ・モーテンセンが特殊メイクをせずに、素面で出演していること。カップルが、真夜中の森の中に迷い込むまでを描いた前半部分は、ごくごく真っ当なホラー映画と言えるのだが、前から来た車と衝突し、ケン・フォリーと出会ったあたりから、ホラー映画ではなく、ありきたりなアクション映画になってしまっている。
 
 レザーフェイス一家の屋敷も、光量が強いのか、美術が弱いのかわからないが、いまいちおどろおどろしい雰囲気が出ていない。もし監督がフーパーだったならば、主人公を引きずり込む屋敷はもっと魅力的なものに仕上げたに違いない。レザーフェイス一家の人間関係をあまりにも丁寧に描き過ぎたために、一家の神秘性や恐怖感が薄れ、普通のアクション映画のやばい家庭に成り下がっているのはいるのが非常に残念でならない。屋敷に逃げ込んだ時に、最初に出くわしたゴス・ロリ系の少女も狙いは悪くないし、母親が人工スピーカーで話すなど細かい設定も悪くないのだが、家族が普通に言葉を使って会話する時点で、観る側からすれば怖さが半減してしまう。理性的な人間よりも、たがが外れた動物的な凶暴性にこそ、この家族の怖さがあったはず。レザーフェイス側以上に、主人公とケン・フォリーの不死身さも最後までよくわからなかった。まるでゾンビのように、何度も何度も甦る姿は人間の範疇を超えている。普通ならば手の甲に五寸釘を打ち付けられた時点で気絶していてもおかしくない。
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