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飢餓海峡のTのネタバレレビュー・内容・結末

飢餓海峡(1965年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

日本映画史の金字塔的傑作と謳われる水上勉原作、内田吐夢監督作。

良くも悪くも古き日本の刑事もの。大作映画らしい導入部には心躍らせられたが、その後は、疑いようのないような犯人フラグが見逃されたり、都合のいいタイミングで “10年前のあの人”の写真を新聞で見かけたりなど、今では萎えポイントとされるような展開が見受けられた。

時代錯誤かもしれんが、警察能力の低さが目に余るものであった。証言信じすぎ。舐められて当然。国の統治・治安維持のための組織として弱すぎ。

それに、有名人とはいえ、過去に取り憑かれて懺悔し続けてるような人間が平気で新聞に自分の顔載せんな。本当は心のどこかで裁いてほしいと願っていたのかもしれないが、結局彼を決定的に悪人たらしめたのはその後の衝動的な殺人なのだから非整合的。

なぜそれが本人の爪だと分かるんだ。経歴洗うのもままならないのだからDNA鑑定なんてできんだろう。爪を出されて負けを認めるな。そこまでの徹底した演技はなんだったんだ。予定調和的に着地させられるのは遺憾。

善人に降りかかる不可抗力と、真実を話しても信用されない不条理を描いているようだが、そんな馬鹿なことしたら信じたくても信じてあげられないと言わざるを得ない。すぐ出頭すればいいものを。結局人殺してるし。救いようがないスーパー墓穴ホリダー。

馬鹿な犯人に馬鹿な事件。最後は信じるか信じないかはあなた次第みたいな物証のない追いかけっこ。予定調和的に着地するのが見え透いてて退屈。大筋が陳腐で倒叙ミステリーに不向き。映像作品としては良いと思うが、物語は楽しめんだ。次回作の捜査担当者はイタコでお願いします。


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