このレビューはネタバレを含みます
内田吐夢監督のサスペンス作品。
同監督の「宮本武蔵」や「大菩薩峠」のような派手目な作品とは大分テイストが異なる印象の作品で、描かれる悲哀を十分に含んだ人間ドラマは、俗っぽく評すれば「火曜サスペンス劇場」に通ずる部分があったように思う…。(3時間越えは長過ぎる。)
サスペンスでありながら、追われる身となる"飢餓状態"な方々が悪人とも言いきれないため、警察側ではなく、八重に感情を寄せて鑑賞していただけに、終盤の展開が特に苦しかった。
殺さなければ万事うまくいったと思われるだけに…。善行を重ねても、人を心から信じることが出来ない状態であったのだろう…。
三國連太郎扮する犯人に身投げを許してしまう警察の落ち度は、割りと冗談では済まされないレベルだと思う。