矢吹健を称える会

D.N.A.の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

D.N.A.(1996年製作の映画)
2.6
 オープニングの空撮殴りあい~救助後のヴァル・キルマー&マーロン・ブランドの不気味さに「なんだ、言われてるほど悪くないじゃないか」と思っていたが、どんどんどうでもよくなってくる。
 主演のデヴィッド・シューリスに華がなさすぎる。血清の話もよくわからない。

 映画本編よりも映画製作の裏側のほうが面白いという類の一本とのこと。Wikiの記事https://en.wikipedia.org/wiki/The_Island_of_Dr._Moreau_(1996_film) を読むともともとこの映画はリチャード・スタンリーという人がどうしても自分で監督したかった企画だったそうで、マーロン・ブランドを口説いて製作に持ちこんだと。当初はブルース・ウィリスが主人公の弁護士役、ジェームス・ウッズがモンゴメリー役をやるはずだったのだが、ブルース・ウィリスが降板。代役としてヴァル・キルマーが起用されたものの、彼は自分の撮影期間の短縮を要求してきて、それでは主演は無理だからというのでモンゴメリー役をあてがわれることになった。で、かわりにロブ・モローが主演として登板。
 この時点で相当こんがらがっているが、そのうえ撮影が始まる前にマーロン・ブランドの娘が自殺。彼は自分の所有する島にとじこもってしまって撮影に来るかどうかもわからなかったらしい。

 撮影初日はヴァル・キルマーが脚本どおりの台詞を言わないうえに監督批判を連発、さらに天候不良で撮影が思うままに進まなかったらしく、現場の雰囲気が悪すぎてロブ・モローが降板。撮影3日目の後、監督のリチャード・スタンリーはファックスで解雇を告げられたそうである。この人もこの人で、ブチ切れて書類をシュレッダーにかけたあと、ハリウッドに戻る飛行機に乗らずに空港から失踪。もうめちゃくちゃだよ……。

 でそんな経緯もあって監督としてジョン・フランケンハイマーが雇われたらしい。マーロン・ブランドと仕事がしてみたかったらしい。

 が、その後もめちゃくちゃである。ヴァル・キルマーとマーロン・ブランドはモメまくり、スタッフはひたすら不満を募らせていたという……しかし何といってもすごいのはマーロン・ブランドのこのエピソードだろう――彼は脚本の書き直しに腹を立て、台詞を覚えることを拒否したので、撮影中に小さな無線機を通じてアシスタントに台詞を言わせて、それを聞き取って繰り返すことでその場をしのごうとした。しかし、途中で警察無線と混線してしまい、「Woolworthで強盗が起きた」などと言ってしまったそう。いやはやさすがです。監督も最後にはブランドさまに愛想をつかしていたそうである。

 あと失踪した元監督(リチャード・スタンリー)はその後スタッフの助けを借りてこっそり戻ってきていて、猿人のエキストラとして撮影に参加していたらしい。自ら立ち上げた企画とはいえ、そこまでしてでも関わっていたかったのか……。