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グラディエーターのpikaのレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
4.5
これから2時間半の大作が始まるってんのにクライマックスの如きオープニングから始まってわずか20分で栄華極めて全て成し遂げちゃったよ!ってところで急落下、失うものは何もないゼロ状態の無敵の将軍が腕っぷし一つで愛する者たちの無念を晴らすリベンジ活劇へと展開していくなんて、ちょー胸熱!大興奮!

150分超えの大作としてあるべき姿と言うか、2〜30分のドラマが連続してあるように集中力が散漫にならない絶妙な緩急で窮地とカタルシスが繰り返され、常に観客の期待感を刺激し溜飲を下げまくる構成が素晴らしく見事!!
王道な心地よさでありながら凡庸な作品になっていないのはリドリー・スコットのビジュアリズムやテンポの良い演出によるところもあるだろうけど、ラッセル・クロウの演技を超えた存在感とかホアキン・フェニックスの何だか憎めない愛らしさとか、そういうキャラクターひとりひとりの人間臭い魅力が映画そのものに厚みを与えていて全員好きになっちゃうところが大きい。

愛とか信頼とか理念とか忠誠とか、誰もが憧れるけど自分ではなかなか成し遂げられないヒロイックな生き様を体現したキャラクターに自己を投影して酔える楽しみが最高の魅力!
英雄は民衆や社会を背負った者ではなく様々な思惑や期待で背負う形になるだけで、家族や愛する者以外は全部ゴミみたいな価値観で復讐という理由のみで戦う、そんなミニマムな姿勢は立場や能力を超えて親近感を抱かせるし、宿敵となる相手も悪の権化ではなく動機としては主人公と何ら変わらないという魅力の描き方も秀逸。

ラストで無視されっぱなしのホアキンとか、視点を変えるとギャグになるような天然ぷりもリドリースコットの作家性が滲み出ていて最高!

映画史に残る名作ですげー今更感あるけど歴史物苦手とか言ってないで見てみて本当に良かった〜
大傑作!最高!!
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