1928年公開のサイレント映画。とうぜん音も声もないだけに、女優の表情によって場の空気の変化を伝える語り口がいまの時代に観ると新鮮。テーブルクロスで画面を覆ってカットを切り替えたり、カメラを揺らして船の揺れを表現したり、映像的なコラージュで酒に酔った人の主観視点を画面に再現したりと、あらゆる基本的な工夫がこの時代にはもうあったんだなと思わされる。モノクロであるがゆえに、画面の明るいところと暗いところが白黒でハッキリと際立っているところも印象的。なんだか不穏な空気が流れて終わる顔のアップとグラス越しのカットも良かった。