TAK44マグナム

レプティリアのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

レプティリア(2000年製作の映画)
2.8
虫除けスプレーは必需品!


あの「悪魔のいけにえ」の生みの親!トビー・フーパー監督が手掛けたワニが人を喰いまくるアニマルパニック映画。
トビー・フーパー監督でワニというと「悪魔の沼」を思い起こしますが、ゼロ年代になって密かにこんなの撮っていました〜って感じです。

レプティリアとは爬虫類という意味で、本作に登場するそれは凶暴な上にデカいナイルワニ(クロコダイル=原題)。
劇中では「クロコダイルは人を襲わない」とレッドネックなワニハンター親父が言ってますが、ナイルワニには人喰いもいるみたいですね。
卵を割られて怒り狂ったワニが執拗にボンクラ学生たちを追うというのが筋書きなのですけれど、ワニにそういった感情があるのかどうかはよく分かりません。


春休みを島で過ごすためにやってきた8人の学生たち。
楽しいバカンスになるはずが、ワニの卵にイタズラしてしまったために、島に伝わる伝説の怪物「フラッドバック」を怒らせてしまう。
巨大なナイルワニは水中でも陸上でも彼らを追い詰める!
銃弾も弾き返す硬い表皮、デスロールしながらジャンプする運動能力、そして一瞬で人を破壊する牙!
はたして学生たちは生きて島をでることが出来るのであろうか・・・!


どこまでいってもテンプレートな展開で、逆に安心して観られる映画です。焚き火を囲んだ若者たちが恐ろしい伝説の話で盛り上がる・・・完全に「13日の金曜日」から何も変わらず、そのまんま(苦笑)
別にワニじゃなくて殺人鬼でも幽霊でも使える典型的で既視感バリバリなオープニングに、これから降りかかる恐怖に期待して胸を踊らせる・・・・・わけない!正直、飽きたよ(苦笑)!
こんなカビ生えたような脚本でそのまま撮ってしまうとは、天下のトビー・フーパーも仕事にあぶれて困っていたのかと勘ぐってしまいますが、若者たちのどうでもいい会話劇を割と丁寧に演出しているのは流石ですね。
でも、大してドラマティックでもない上に、みんな喰われてしまうので
、やっぱりこういう映画に重要なのはテンポを乱さないことなんだよなあと再認識する結果に。
結局、主人公カップル(男の方は角度によってはトム・クルーズ似かも?)の痴話喧嘩とか、バカな友達との友情とか、そういうドラマが殆ど意味をなしていないまま終わるので、そういうのに尺を割いた中盤の中弛みが作品の足を引っ張ってしまっています。
じっと見張ってないで、はよ襲わんかい!とワニに文句言いそうになりましたよ(苦笑)。

主役であるワニは、ハリボテとCGを場面によって使い分けています。
壁を突き破ってくるパワフルなハリボテは、それなりに迫力もあって良いですが、CG製のワニはかなりヤバいです。
いきなり線が細くなった印象で、素早く動きすぎ!
ハリボテの時の重量感は一体どこへ(苦笑)?

人間を丸呑みしたり、噛み砕いたり、ワニハンターたちが何がしたいのか良くわからないうちにアホみたいに死んだり、無駄に爆発したりと色々あるうちに主人公カップル+バカ1人が「もう戦うしかない」と腹を括るクライマックスは、ある意味、驚愕の展開でおったまげましたよ!
銃も効かない相手に対して、肉弾戦でどのように勝つのか?
何と言っても、モンスター映画において大切なのは、退治の仕方じゃないですか。
強大で絶対的だったモンスターがバラバラに飛散したりするから最後に溜飲が下がって爽快感を得られ、エンドロールみながら満足感に浸れるわけじゃないですか。
なのに、ここまできてラストが「大巨獣ガッパ」みたいになるとは!
まさかの、ほのぼのオチに口あんぐりでエンドロールを眺めていた自分がいましたよ!

それにしても、こういう映画ってワンちゃんが登場する率が何気に高いですよね。
ワンちゃんに吠えさせれば、「何かがいる感」を手軽に演出できるからなのでしょうけれど、本作にもやはりワンちゃんが出てきます。
こんなところも、何から何まで決められたフォーマットで作られたようにみえてしまって残念な映画だと思っていたらラストだけ思いっきりハシゴを外してきて、なんだか監督が舌をだして笑っている顔が想像できたというか。
「最後まで律儀に観てくれてありがとう。どうだい?ほっこりできたかい?ワニはトモダチ、君もそう思うだろう?」


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