あきしげ

くるみ割り人形のあきしげのレビュー・感想・評価

くるみ割り人形(2010年製作の映画)
1.5

原作はE・T・A・ホフマンの童話を基にする。
アンドレイ・コンチャロフスキーが実写映画化。
20年以上に渡る「夢のプロジェクト」らしい。
製作費が9000万ドルと破格の投資額である。
それに反して各方面で酷評が目立った失敗作で、
“2010年最低の限定公開映画”と称された。

ピョードル・チャイコフスキーのバレエ作品。
こちらも非常に有名でバレエでよく使われる。
しかし、本作では足を引っ張るとしてカット。
本作は純粋にファンタジー映画になっている。

主演にはエル・ファニング。
酷評を受ける本作での良心。
彼女の演技が光っています。
エル・ファニングのおかげ。

もう一人の主人公くるみ割り人形。
チャーリー・ロウが演じています。
人形になったり人間になったりと、
色々と大変な役もそれなりの感じ。

悪役のネズミの王と女王は典型的な役。
王はジョン・タトゥーロが特殊メイクで演じて、
女王はフランシス・デ・ラ・トゥーアが演じる。
どちらも誰か分からないレベルである。

こういう作品は基本的にワクワクするはず。
それなのに本作からは退屈さしかないです。
どのシーンも子供騙しすぎて大人には退屈。
金かけているから映像やギミックはいいが、
ストーリーが退屈すぎてほとんど目立たず。

特に大きな問題となるのはネズミたちの設定。
ナチスドイツをモデルにしたのが失敗である。
典型的な悪役で重い歴史を持つナチスドイツ。
これの子供騙しの作品に取り入れたのは失敗。
もっとファンタジックな悪役にするべきです。
あまりにも安直すぎる結びつけは受けが悪い。

何より本作が9000万ドルの作品。
とてもそのように見えなかったです。
子供が主人公の時点で分かる事です。
あまり大層な世界観にはできません。
無茶もそこまでさせられないのです。
だから世界観が広いようで狭いです。
9000万ドルとは感じられません。

本作はエル・ファニングの演技、
それと音楽を楽しむだけの作品。
ストーリーはないようなモノで、
監督の20年以上の構想ですが、
残念ながらその価値がなかった。

RE-305
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