JunichiOoya

ともだちのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

ともだち(1961年製作の映画)
4.0
国立国際美術館「中之島映像劇場」
5年間企画を続けてこられた田中晋平さんキュレートの最終回。

日本私立幼稚園協会のPR映画を岩波映画が時枝俊江さん、久保田義久さんで61年に撮った作品。デジタル修復され大変美しい仕上がりでした。

61年というのは私(57年生)の幼稚園時代とほぼ重なる。それもあって登場する園児たちの立ち居振舞いのどれにも、やたら身に覚えがあります。

それにしても、彼らの幼稚園生活はなんと私のそれと違うものだったのか…。
まず身なりがとても美しく上等。大阪大正区琉球タウン=家賃が格安だった、の六畳一間アパート(風呂無し、共同便所)で三線(蛇皮線と言ってました)の音を聴きながらの親子三人暮らし。
そんな中で私が年少組に入園したのが62年。おそらくは経済的に続かなくて年長組には進めないまま64年に小学校に上がりました。
当時の私の一家の暮らし向は確かに平均未満だったのかもしれないけれど、流石にこの映画で描かれる「生活」は当時の日本にあって高級過ぎるものだったように思うのですが。

何より登場する藤村美津先生がとても育ちが良い感じで、完璧に「映画の中の原節子」でした。

当時の技術的問題だと思いますが、敢えて同録に拘らず、子どもたちの表情を写しとることに専念した手法には大いに賛同するのはもちろんですが。
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