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シェラ・デ・コブレの幽霊のShinMakitaのレビュー・感想・評価

シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)
1.8
一ヶ月前に母ルイーズを亡くし、莫大な遺産を継いだヘンリー・マンドール。盲目で引きこもりがちな彼は、妻ヴィヴィアの留守中に何度も直通黒電話を受けていた。かけてくるのは女で喋ることなくただすすり泣くだけ…
ヘンリーが怯えるのは、この直通電話が母の亡骸がある霊廟と繋がっているからだ。死んだ母の幽霊がかけてくるのでは…と考えたヘンリーは、心霊研究員ネルソン・オリオンに調査を依頼する。


「シェラ・デ・コブレの幽霊」


「サイコ」の脚本家が監督したホラー映画。字幕の間違い(マンドールさんをマンドール夫人と誤訳しまくりだったり)がストレスであるものの、ストーリー的にはロジックがしっかりある幽霊ドラマで、かなり楽しめます。「シェラ・デ・コブレ伝道所で女性教師が幽霊に殺害された事件」と「ルイーズが息子ヘンリーに電話をかけて取り憑く事件」という2つの幽霊ケースか描かれていくんですが、これが超自然現象ではなく犯罪であることが暴かれ、その後に本物の幽霊が登場するという構成です。脚本が良く出来ているのに加え、撮影がコンラッド・L.ホール、主演がマーティン・ランドーとあっては、相当凝った映画だと言ってよいのでは。ちょっと横溝正史的とも言えるかな。ホラー演出は大仰でチャチだけど、探偵映画として観たらなかなかのクオリティ。霊廟でオリオンとヴィヴィアが初めて会うシーンの長回し…電話線→霊廟→パウリナが出て行き→植木が倒れ→オリオン登場…というショットは不穏さと情報提供の密度が濃く、素晴らしかったです。一見の価値あり。
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