明石です

カラー・ミー・ブラッド・レッドの明石ですのレビュー・感想・評価

3.7
批評家に色使いの稚拙さをダメ出しされ、悩みに悩んだ画家が、絵の具の代わりに人間の血を使って絵を描くと、作品に異様な生命感が生まれて大満足…!その新たなお気に入りの絵の具を調達するため、猟奇的な殺人鬼となるお話。スプラッター映画の父ハーシェル・ゴードン・ルイスの「血の三部作」の3作目の映画。

前作『2000人の狂人』の、あの手この手を尽くした拷問殺人のジェットコースター的な作風からは一点、元々は普通の人間だった一人の男が、芸術的希求から血を欲するようになる過程が本筋となる本作は、血で絵を描くことに目覚め、自分の血では足りなくなり、殺人へと至る過程が、オーケストラチックな管弦楽器の演奏で華やかに飾られ、テンポ良く描かれていく。

そして絵の具として使われる血糊が、昔の映画特有の毒々しい赤色なのはもちろん、登場人物の着ている服や部屋のデコレーションなどにも極彩色のカラーリングが目立ち、アーティストらしいこだわりというか、もしかするとこの監督は赤への愛が長じてスプラッター映画を撮り始めたのかな、なんて妄想したりもする。

ひとつのシーンをひとつのカメラだけで撮り、別の人物に焦点を変えるたびにカメラが勢いよくパンしたりする手法は、独特なのか手抜きなのか笑。演劇の舞台をそのまま録画し、繋ぎ合わせたような手作り感のある雰囲気は嫌いじゃない、、まあ観客に血を見せる映画なんてまともな映画館ではどこも上映できなかった時代の作品だから、予算の都合なのだとは思うけど。オープニングクレジットを見るに、撮影も監督本人が兼ねてるみたいだし(デビュー後3作目なのに!)。

しかし、、個人的に気になったのが、女性の裸体の上に煩雑に血を塗りたくっただけの意味不明な絵が数千万ドルで売れるというのは、さすがにジョークにしか思えなかった、、笑。絵画に詳しくない私でさえこれは落書きだとわかる、、血を絵の具代わりに使うこと以外はそれまで通りのやり方で描くのかと思いきや、まさかの出来た絵の上に血を塗りたくるという、、これを絵画と言えるのかが、そもそも疑問ですね笑。

殺した女性を壁に縛り付け、むき出しになった内臓を、まるで牛の乳を搾取するような要領で絞って「絵の具」をパレットに注ぐシーンは笑っちゃった。そしてパトロンの娘を殺し、その血を使って描いた絵を本人に売ろうという思考はサイコ味があってとても好き!随所に粋なアイデアが散りばめられた、本当に惜しい作品なのです。ラッセル・クロウ似の主演俳優さんの鬼気迫る演技はとても怖かったしね!、いつかリメイクしてほしい。イーライ・ロスあたりが監督で笑。
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