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不信のときのmitakosamaのレビュー・感想・評価

不信のとき(1968年製作の映画)
3.7
スカパーにて。原作が有吉佐和子の小説。いやぁ、面白かった。特に後半にかけて畳み込む様に面白くなるので2時間の尺も長く感じないわ。

田宮×若尾の不倫劇ということで、先日見た“「女の小箱」より 夫が見た”にも似ているが、今作は更にブラックなペーソスに満ちてる。

社会的にも地位がありオクサマ(岡田茉莉子)も綺麗な浅井(田宮)。
子供が産まれない以外は理想的なイケメン。
しかも愛人であるホステス(若尾)に子供だけ欲しいと言われる。
モッテモテ。謂わば男にとって最も都合の良い序盤。

愛人に子供が出来、更に遅れて妻にも子供が出来る。妻に隠して両方の生活をおくる浅井。でも遂にバレちゃう。

ここからまさかの展開。あー、そう来ますか!

さらに若かりし加賀まりこも。ストリップ写真のモデル役で手ブラのセミヌード!某老社長の愛人となり、老人の望みで子供を産む。が、遊びたい盛で子育て放棄。この頃からネグレストがあるんやね。

演出的にも結構面白いシーンが多い。若尾との子を“文子”と名付けるが、新幹線で静岡に来た際に“富士子”にしようかと提案する。
その日ホテルで夕焼けに染まる富士山の不気味さに怯え、やっぱり富士子は辞めようと言い出す。
このシーン、凄く象徴的。二重生活の罪悪感にフッと我にかえったかのような演出。上手いなぁ。

田宮はこの映画の宣伝で揉めて、大映を干されることになったらしいね。それがタイムショックや白い巨頭に繋がるのだから皮肉な運命だが。
しかし、身体もグッドシェイプだし色気もある田宮が、今作以降に映画界から抹殺さてたのは勿体ない話だな。
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