ジャイロ

吸血鬼ボボラカのジャイロのレビュー・感想・評価

吸血鬼ボボラカ(1945年製作の映画)
3.6
それは家族で食卓を囲んでいた時のこと

小学生の長男「ねえ、お父さん」

味噌汁をすする私「ん?ズズズズ…」

長男「アバズレって、どういう意味?」

私「ブフォオ!」(味噌汁ふいた。ワカメ飛んだ)

妻「んー…だらしない女の人のことかな?」

長男「ふうん」

私「ゲホッゲホッ、そ、そんな言葉、いったいどこで覚えたっ!!」

長男「鬼滅の刃」

た、確かに!上弦の鬼がそんなこと言ってた!!上弦の肆がアバズレ言ってた!!!
鬼め!吸血の鬼め!!
ぐぬぬぬ…

悪鬼滅殺

実生活でも吸血鬼に悩まされています。



1940年代

それは戦時中ってこともあってかどうか分かりませんが、吸血映画が極端に少ない。吸血業界にとって不遇の時代です。フランケンシュタインや狼男はあるんですけどね。あとミイラ男も。

ユニバーサルスタジオによるドラキュラシリーズ第三弾『夜の悪魔』(1943)

ベラルゴシ主演の『吸血鬼蘇る』(1944)

どうやったら観られるのか分からないショートフィルム『吸血コウモリ』(1945)なんてのもあります。そんな中で私が選んだのはこれ

『吸血鬼ボボラカ』

それにしてもボボラカて…

世の中には色んな吸血鬼がいるんですね。『吸血鬼ブラキュラ』とか『吸血鬼ヨーガ伯爵』とか。後家さんが血みどろになるみたいなのを勝手にイメージしてる『吸血鬼ゴケミドロ』など。まあいっぱいいてもいいか、吸血鬼。楽しいし。

『吸血鬼ボボラカ』の主演は、ボリスカーロフ。ミスターフランケンシュタインか。なるほど雰囲気出てる。

ボリス閣下「俺は他の人間と違っているのかな?」

ご自分ではお気づきになっておられないようですが、立ってるだけで怪奇ホラーの気配が漂ってますよ閣下

伝染病が蔓延する館

呪われた島

誰一人、この島を出ることは許さん

なにせ閣下には守らねばならぬ大勢の命があるのだから

人が次々と死んでいく

伝染病に倒れていく

伝染病、速効性能すごすぎて何もできやしない

もう祈ることしかできない

そんな中でも不吉なキエーラが怖い。まるで魔女みたいな彼女の言葉が、呪いの言葉が、トゲのように刺さってはゆっくりとゆっくりと、心を蝕んでいく。

怪奇の手洗いも怪奇のヒラヒラも雰囲気出てました。あれはケルベロスかな?いい味出てた。うん、いいね。いいよ。

最後までボボラカ出てこないって前情報を、ついうっかり見ちゃったけど、いつか出てくる気がしてならない吸血鬼ボボラカ。

吸血鬼って劇中の字幕で見た記憶がないボボラカ。本当に吸血鬼なのかボボラカ。単なる迷信なんじゃないのかボボラカ。果たしてほんとうに出てこないのか、それとも間違って出てきちゃうのか…う~んもう、じれったい。じれったい。いくつに見えても私誰でも。じれったい。じれったい。私は私よ関係ないわー。特別じゃないどこにもいるわワーターシー、ボーボラーカー♪

もうそこら中にいる。

ボボラカ、ボボラカ、ボボラカ…

なにこの精神攻撃

ボボラカ、ボボラカ…

これはキツい

ボボラカ、ボボラカ…

もうやめたげてーーーー

シアの魂が、恐怖のべリードアライブが、猜疑心渦巻くラストの攻防に思わず魅入ってしまいました。

ボボラカは、心の闇に巣くってましたよ。疑心暗鬼という名の鬼が、吸血の鬼が、目には見えてないだけでずっと出て来てましたよ。

(でもやっぱり吸血鬼じゃないなこれ)