ヴェルヴェっちょ

裏切りのサーカスのヴェルヴェっちょのレビュー・感想・評価

裏切りのサーカス(2011年製作の映画)
4.5
渋い。ここまでダンディズムを貫いた作品にはめったに出合えない。

元MI6諜報員にしてスパイ小説の大家ジョン・ル・カレの代表作の映画化。
東西冷戦下、英国情報局秘密情報部MI6とソ連国家保安委員会KGBは熾烈な情報戦を繰り広げていた。そんな中、英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロール(ジョン・ハート)は、組織幹部の中に長年にわたり潜り込んでいるソ連の二重スパイ<もぐら>の存在の情報を掴む。疑惑の幹部は4人、コードネーム”ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン”。
だが、コントロールは作戦失敗により<サーカス>を追われ、謎の死を遂げる。 調査を引き継いだのは、コントロールの右腕で、引退した老スパイ、ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)だった。
浮かび上がるソ連の深部情報ソース<ウィッチクラフト>、そしてかつての宿敵・ソ連のスパイ、カーラの影。やがてスマイリーが見い出す裏切り者の正体とは…。

まず、渾身の映像化に拍手。元諜報員ル・カレによるリアルこの上ない原作を映画化した製作陣に脱帽。
次々と展開していく頭脳戦についていけず、2回目の鑑賞でようやく落ち着いて観られる。
細部に至るまで冷戦時代が綿密に再現されているだけでなく、ゲイリー・オールドマンをはじめ、豪華俳優陣の抑えた演技にはまってしまった。結末が分かっても、ディティールを味わうために何度も見たくなる。渋さの極み。