このレビューはネタバレを含みます
「シュトロツェクの不思議な旅」
出所したてのブルーノはドイツでの生活に嫌気がさし、知り合いの老人の伝手でアメリカに移住する。アメリカンドリームを夢見て笑った先は、彼の理想郷とは異なり、彼は再び挫折を味わうのだった。
物語が簡潔で分かりやすいところが気に入ったが、それ以上に色彩豊かな映像美に圧倒された。特に赤と青の色調に目を奪われる。35mmのプリントで観たら…と考えるだけで涎が出そう。
移民が移住先で苦労して犯罪に走るというよくある話だが、終盤の回り続ける車、機械に動かされ続ける動物たち、そしてリフトで回り続けるブルーノ。この構図が何者かによって同じところを回り続けさせられているような彼の現状を表しているんだろうなと思った。
銃声が聞こえたからその円環をブルーノは断ち切ったのだろうか。