このレビューはネタバレを含みます
アフロ・アメリカンのベトナム帰還兵エディは、DNA研究でノーベル賞受賞の白人スタイン博士の手術によって、戦争で失った四肢を取り戻す。が、下僕のごとく博士に仕える助手のアフリカ系マルコムが、白人患者のものと混ざったDNA液を故意に注射したことで、エディは夜な夜なスケベ・カップルを襲い惨殺するフランケンシュタインの怪物もどきになってしまう。
正真正銘の三流映画だが、徴兵検査ではねられたことにコンプレックスを抱く白人中年看護師が、手足のないエディを虐待する場面は、時代の底で足掻く人間たちの生々しい心象記録となっている。ベトナム後遺症映画でもこんな気の重くなる描写は見たことがない。
警察犬最凶といった凄惨なラスト。ベトナム帰りの怪物の、祖国での汚物のような死を、即物的なカメラが悲劇を強調すること無く、投げやりに捉えている。