拘泥

カランジルの拘泥のレビュー・感想・評価

カランジル(2003年製作の映画)
4.0
ブラジルはカランジル刑務所で起きた暴動囚人の殺戮事件が起こるまでを描いた「ブラジルのゴリゴリの社会派のクソおもすれー映画」系譜の一つ。起こるまでとは言っても、何か物語的な展開を丹念に映すわけではない。むしろ暴動の契機などは筋書きだとしたら最低のクソ脚本だろう。だが現実などは得てしてそういうものらしい。
「鎮圧」の事実のために雑に床を血塗れにし、しかしまるまる洗剤で満たして掃除する刑務所の仕方で血を同様に洗い流しそれで良しと、腐敗した政治が垣間見える。囚人を深掘りし、キャラクターを「立たせ」、とってつけたように殺すからクソひでぇとなるが、他方フィリピンでは支持率90%に昇るドゥテルテ政権の麻薬撲滅運動にて麻薬捜査における殺人を罪に問わないという。市井の声は無論支持率通り治安が良くなったことを喜ぶものが多いようで、私とて眉間に銃を突きつけられながら犯罪者の人権を叫べる自信はない。安易な左傾も右傾も避けたいものである。
Wikipediaによると本件の指揮官は懲役632年を求刑された上暗殺されたらしい。怖すぎんだろ。
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