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悪の力のmareのレビュー・感想・評価

悪の力(1948年製作の映画)
3.5
正反対の立場で揺らぐ兄弟の業。両者の対比から、まさしく悪の道に染まったものはなかなかその沼から抜け出せないということを体現したフィルムノワール。サスペンスものというよりは闇社会の欲望が絡み合うような作風で少々意外だったがシンプルなまとまりながらも見応えがある。コントロールする側の人間が儚く堕ちていく罠、軽妙でアクセントとして添えられた恋愛模様、大胆かつ一瞬で決まる暗闇での銃撃戦、どこまでもタイトでスタイリッシュ。ドライな質感でキャラクターに同情しないストーリー、後悔のリアリティが際立ち、時すでに遅しを地で行くスタイルは常に空虚さが張り付く。
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