悪の力の作品情報・感想・評価

「悪の力」に投稿された感想・評価

タクシーを一瞬止めて降りて花買ってお釣り貰わず素早く戻って来て隣に座る女の子に雑に渡したい。
mat9215

mat9215の感想・評価

4.5
これは素晴らしい。赤狩りの被害者であることが、手がけた作品よりも知られているエイブラハム・ポロンスキーは、映画監督としても優れていた。カメラアングル、カメラと人の動き、ライティング、ショットの積み重ね。そして、娘を棚の上に乗せるようなアクションの小技。こうした演出のすべてが、観る者の感情を揺さぶるように機能する。まっすぐな娘との交情を基本に据え、フェロモンを振りまくボスの妻があまり主人公に絡まないのも潔い。
ポロンスキーの監督作品を初めてちゃんと観た。40数年前テレビで放映された『夕陽に向かって走れ』はもったりした印象しかなくて、ラストに近い場面でビデオが止まってしまった(放送事故!)ことばかり覚えている。
ptzkk

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4.0
黒いは正義

女の子を持ち上げて高い所に置きたい欲求に駆られる稀代な映画
エイブラハム・ポロンスキー監督作品。
ジュネス企画のVHSでの題名は『苦い報酬』。
ナンバー賭博を牛耳るタッカーというマフィアの顧問弁護士であるジョン・ガーフィールド演じるジョーは、弱小の胴元を配下にするよう画策していた。そんな弱小胴元のひとつにジョーの兄、レオが運営する胴元があったが・・・という話。

映画冒頭でニューヨークのビル群の間を人々が歩いているのをハイアングルで撮っているシーンや、主人公以外人がいないニューヨークの街等、ロングショットで撮られたシーンが見ていて気持ち良かった。

最後の銃撃戦で真っ暗な部屋の中、銃を撃った光で人物の顔が表れる演出も良かった。

ジョン・ガーフィールドの演技に安定感があり、違和感なく見れた。
裏社会と兄弟愛、権力闘争劇かつ登場人物の多さの割にスマートな脚本、盗聴のギミック、銃のちらつかせ方、銃撃戦シーンの神ライティング、「世界の底」の言い回し、走る主人公をロングで捉えるカメラ、ラストでの兄貴の見せ方。登場人物がキャラがいちいち濃かった。ビビリの会計係はもちろん、タッカーの奥さんとか閉所恐怖症のおっさんとか、妙に記憶に残る。

最後のセリフは無くていい。
徹底的にクールにえがかれたフィルム・ノワール。

そんなに一部で絶賛されるほどの映画だろうかとも思うが、ラスト近くでジョン・ガーフィールドがそびえる石壁の大階段を駆け下りるシーンは圧倒的。
立ち向かっても敵わない巨大ななにか(それは暴力的な組織であり、また人間の欲望をかきたてる経済というシステムでもあるだろう)を前にして、落ちていくしかない弱い人間が、見事に表現されていて、このシーンだけでも見る価値がある。
eigajikou

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4.0
スコセッシがスコセッシが最も影響を受けたギャング映画だそうでラストの方、『ギャング・オブ・ニューヨーク』で似た風景のシーンあった気がした。
ラストの三つ巴の銃撃戦の凄まじさ。撃たれたあとに暗闇から顔が出てきて敗者が判明するという演出もニクい。
CHEBUNBUN

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2.5
【スコセッシに影響与えたらしい】
スコセッシが影響受けたフィルムノワール。宝くじ賭博をコントロールする悪徳弁護士の破滅を描いた作品だ。

どちらかというと、クローネンバーグが『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を撮る際に参考したのでは感じた。

さて、フィルムノワールはど素人かつあまり得意ではないので、本作もそこまで乗れなかったのですが、90分位で複雑に入り乱れる人間関係を、時間的ゆとりも魅せつつ描くポロンスキーの力には脱帽です。

悪徳弁護士で自分の都合のいいように、ヤクザな副業を合法にしていく。それに対比するように賭博を仕切る冴えない兄が描かれる。

悪の中の善、哀愁を強調することで悪徳弁護士の悪の力を強大にする効果が見受けられます。

ノワールというと、悪女、見るからにヤバそうな悪女が出てくるイメージが強いのですが、こちらはファム・ファタールの割にはフツーの女性だったので、ノワールの世界の奥行きに興味を持ちました。
No.204[簿記係のおっさん、クズすぎでは] 70点

身の上話聴いてやるよ、と口説いた直後のカットが車の後部座席横並びで腕組んで仰け反って聴いてる姿という悪徳弁護士なのに、紙にも包まない大量の花を投げつけて渡す"叔父さん"的立ち位置の人間なのに、このジョシュ・ブローリン…じゃねぇジョン・ガーフィールドはどうも魅力的で云々。スイっと帽子を投げてドリスがキャッチする感じとか最高っすね。

ただ、内容としてはどこまでも切れない兄弟愛を描いた作品でありながら、どこまでもチキンで独善的な簿記係が恩師を売り渡して自滅する映画なのである。腐れ縁上での正義と悪の対立という点ではもしかすると『汚れた顔の天使』に似ているのかもしれないが、宗教を盾に理想的正義を振り回していた同作を思えば、本作品のお兄さんの方が現実的で悲壮感が漂う。

娘的立ち位置のドリスを弟が取っちゃったことに関してはなぜか一切触れられていないのが気になるところであり云々。それ以外の従業員からなんのお別れ描写もなくあっさり棄てられ、結局一番仕事をしてきたであろう簿記係のおっさんに死ぬほど裏切られるのを見ていると、あんな人柄良さそうなおじさんでも身内に悪い輩がいると即座に棄てられるんだなあと思ってしまった。

ラストの銃撃戦は中々イカしてた。暗闇の銃撃戦で"見えない"ことを利用しているのは高評価。オーディアールも見習ってくれ。

多分言うほど知られてないと思うんだが、特に日本で知られていないのには、『苦い報酬』とかいう邦題も本作品が映画史に埋もれるのを助長してしまったように思える。このように、邦題を付け替えることにも責任が伴うので、初手でいい邦題を付けてくださいというのが、映画好きの切なる思いです(届け)。

追記
(ここだけの話、マーティン・スコセッシとかそんな好きじゃなくて全然観てないんでなんのコメントも出来ないっす)
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