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にっぽん泥棒物語のmhのレビュー・感想・評価

にっぽん泥棒物語(1965年製作の映画)
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松川事件の寃罪を証明したのは泥棒で、この映画はその泥棒の抱腹絶倒の半生記。
「脱走四万キロ」とか「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」みたいに、主人公は犯罪者なんだけど人間的に魅力あふれているパターン。
実際に刑務所で松川事件の犯人たちと触れ合って助けられてもいるのに、ぜんぜんそんなのかんけーねーのがいいね! 最後の最後まで心変わりしない一貫性が、主人公を立体的に浮かび上がらせている。
クライマックスになってようやくはじまる裁判がとても幸せな時間だった。だって、警察がクソなのが確定しているし、松川事件の犯人たちが救われるのも確定している。そのうえで、セリフがめちゃくちゃおもしろいのだった。
自分で監督した「松川事件」をあんな終わらせ方しといて、その続編をこんな形で叩きつけてくる山本薩夫がすげーんだけどね。
三國連太郎も良かったなぁ。
廊下を歩くときに反物だか手ぬぐいだかをさっと転がして、足音を消す細部は覚えておきたい。
面白かった!
mh

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