ゆきゆき

マーティン/呪われた吸血少年のゆきゆきのレビュー・感想・評価

3.7
自称”吸血鬼”のマーティンの物語。吸血鬼という設定が特異なだけであって、映画の質感としてはホラーというよりアート映画に近い感じで、自分好みなアウトサイダーの物語。

マーティンは生き血を求めるが、その方法は牙ではなく剃刀で腕を切り裂いて血を啜る。そもそも吸血鬼認定してるのは本人と従兄弟の爺だけなので、マーティンは奇妙な性癖をもっただけのただの人間なのでは、という見方もできる。見た目は20代の若者の姿でも、本人は19世紀生まれの86歳と言ってるも妄想か。もしかして肉体の衰えが極端に遅い病気なだけかもしれない。

家族や世間から迫害され、他人と交わることができなかったマーティン。やがて初めて女性と触れ合うことができるが、その後に破滅的な結末を迎えることになる。悲しきアウトサイダーの末路である。

ジョージ・A・ロメロはこの後に名作「ゾンビ」でゾンビ映画の大家となるが、こういった奇妙な味のアート映画路線で進む姿も見てみたかった。
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