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サン・ジャックへの道のkojikojiのレビュー・感想・評価

サン・ジャックへの道(2005年製作の映画)
3.8
2005年 フランス🇫🇷作品
監督・脚本はコリーヌ・セロー。「女はみんな生きている」の女性監督。

爽やかな良作。こんな映画、月に一度は観た方がいい。疲れがとれ、明日への活力がみなぎる。
なんか栄養ドリンクみたいですが😅

いがみ合っている兄、妹、弟の3兄弟に母の遺産相続通知の手紙が届く。相続の条件は3人揃って巡礼の旅をすることだった。
3人が参加したのは「道まかせ」のツアー。フランスのル・ピュイからスペイン西の果てにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの旅。ここはキリスト教三大巡礼地の一つで「ヤコブ」の墓地があるところ。
距離は1500キロ。2ヶ月余りの旅になる。

「道まかせ」ツアー参加者は
道案内ギイ、病気を患っているマチルダ、高校生のサイードと字が読めない彼のいとこのラムジィー。彼らと同じ高校生カミーユとエルザ。そして3人の兄弟。合わせて9人。映画の全てが旅の正真正銘ロードムービーだ。

この9人が長い旅の間、それぞれ、色んな組み合わせのパターンで会話をする。色んな話をする。恋の話、家族の話、勉強の話、病気の話。会話している映像が何枚も何枚も重ねられているうちに、9人がどんな人で、どんな悩みを抱えているかも明らかになってくる。そして9人の心が打ち解け、一つになっていく。
旅は辛い、だから最初はもちろん諍いの繰り返しだが、バッグの中身を捨てて、旅に集中しだすと荒波が穏やかな波になるように、彼らの会話は笑いに溢れてくる。
もちろん、大きくはないが事件も起きる。恋も生まれ、失恋もある。歩いているうちに病気が治ったり、酒飲みはなかなかやめれなかったり。迷惑な旅人にも出会う。

それにしても、目が覚めるような景色の連続、日本にはない風景は劇場で観たらさぞかし素晴らしかったろうと思う。知らないということで、どんなに損をしてるだろう。

旅が終わった後、彼らがどんなふうに生きているのか、すごく内容の濃い短いカットで見せてくれる。上手いなぁ~と思いながら、自然と頬が緩む。

この映画のキャッチコピーは
「人生は旅。生きていく上で必要なものはそんなに多くはない。」
何より必要なものは「人との繋がり」であることを、3人兄弟が生まれ育った家からの道を仲良く肩を並べて帰っていく姿が教えてくれる。


2023.04.23視聴176
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