ロバート・シオドマク監督による、【フィルム・ノワール】。
心優しく親切な男、フィリップ(チャールズ・ロートン*)が、長年連れ添った意地の悪い妻、コーラ(ロザリンド・イヴァン)を、、
◯◯死にみせかけた⁈が…。
序盤では、
サスペンスというジャンルが顔を出さないし、
ロバート監督作品だから、、
とハードル上げると、意外にシンプルでありがちな展開に面食らう、、
フィリップの優しい夫と対照的な鬼嫁、コーラ。
相思相愛になる美しいヒロイン、メアリー(エラ・レインズ*)。
嫌味な警部、ハクスリー(スタンリー・リッジス)。
フィリップを恐喝してくるイヤな隣人、シモンズ(ヘンリー・ダニエル)、、
其々のキャラが立っている。
メアリー役、エラは登場から目を引く。
短いスパンで見せるメアリーとのデート切り抜きが、良きムードを簡潔に伝えて素晴らしい。
鬼嫁の葬式が済んで
現れたのは、ハクスリー警部。
↓
面白いのは、
決定的な事が起きるのが少しゆっくりめなのだが、その犯行描写も無く、容疑も断定もしておらず、あくまでも警部、ハクスリーの仮説だけで、犯人の心理を追い詰める構成と、殺しや死体を一切出さない(見せない)演出だ。
警部による、殺害現場のリアルな仮説再現シークエンスの恐怖演出は流石‼︎
↑
その上、ここで ある事 が決定的になるのだ‼︎
人間の持つ イマジネーション は、良くも悪くも優れているな。
殺人なんて、
誰しもに普遍的なテーマに思われるが、誰しもが内に秘めている悪魔(憎しみ)、それが時と場合によっては顔を出す⁈紙一重なテーマを扱っているというのが観る者に伝わる。
クライマックス、
ニ次的殺人の、、
タイトルには、ダブルミーニングが。
ラストは、
善人フィリップのキャラとテーマ性がブレない、筋を貫いた最高の締めくくりを見せる。
映画の トータル性 ってのは大事。
総評:
容疑者に同情出来るような、人間の心理を突いた
ノワール。
映像、演出的には2年後の傑作、【らせん階段】に遠く及ばずも、ロバート監督は、平凡なプロットを脚本や演出(キャスト)を巧みに駆使したら、決して凡作に終わらない事を立証してみせてくれた。
*注記
*傑作、【情婦】でお馴染み、C・ロートンの憂いの演技が光っていた。
*エラ・レインズ(24)のクールな目つきにはヤラれた。