こぅ

ホテル・スプレンディッドのこぅのレビュー・感想・評価

ホテル・スプレンディッド(2000年製作の映画)
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40/'24

テレンス・グロス脚本/監督デヴューによる、
【群像・ブラック・コメディ】。

りょーこさんのオススメ作品鑑賞の巻〜


孤島にひっそりと立つホテル・スプレンディット。
ここは、知る人ぞ知る、完璧なる健康と美、長寿を求める人々が集う場所。
先代経営者が取り決めた厳格な規約によってホテルの調和は保たれていた。
が、そこへ元副料理長のキャスが5年ぶりに戻ってきたことからホテルの運命は大きく変わろうとしていた…。


★脚本
冒頭からモノローグを務める、一番最後の長い客で、水恐怖症のスタンリー(ヒュー・オコナー)が、司会進行/準主役を担っているようだ。
支配人だったエドナ・ブランチ夫人亡き後、長男で、新支配人のデスモンド、次男でシェフ、ロナルド(ダニエル・クレイグ)、セラピストで長女のコーラ(カトリン・カートリッジ)、家族構成とホテルの説明、戻って来た元副シェフのキャス(トニ・コレット)の登場からこの先の展開が暗示される簡潔な導入だ。
難点は、実質の主役がボヤけている。

現シェフのロナルドと犬猿の仲だった、元副シェフ、キャスが1年ぶりに戻って来て、、って、
結末/着地がどうなるかは、誰でも予想出来るが、
ロナルドvsキャルの睨み合い、
ウナギ料理vsイタリアン、
の 料理対決 に終始スポットを充てていたら間が持たず速攻で飽きていただろう。
メイン以外の途中のエピソードも面白いから飽きさせない。
亡くなっても未だにブランチ夫人/ルールがホテルを仕切っているし、
支配人、デスモンドの策略も分かりやすいし、
誰がキャルを呼び戻したのか⁈
各人の 秘密 なんかも盛り込んでいる。
良脚本の要素は バランス の良さ。

誰が誰と、って3組の恋愛模様も仰々しく無い。
三角関係も出るが、ダラダラと長引かせるような事もなく、決着させている。
うんこ/トイレネタ等、小汚い画は、ウエットなのに作風/演出はドライに仕上げているのも良き。


クライマックスは、
やはりピンチになるだろう、ここでもある人の 実態 が明らかになるというちょっとしたサプライズを用意している。

最後は、
ある人を偲んで、
デザートが出てきて、平和に⁈で締めても良かったが、
エンディングは派手に〜
が、
クライマックス〜ラストまで、一気にスマート/簡潔に纏められた感は否めない。

スタンリーの成長とモノローグでしっかり締めたのは抜かり無し。

EDロール後に
あの人の行方が〜あり得ん!!

トータルで後味悪くしていないのも本作の魅力。


★総評/見どころ
内容は違えど、
不正な場所/人物に救世主が現れて、、って王道プロットは、強引に言えば、金田一耕助シリーズ、ブルース・リー シリーズ他と同種だろう。
それによって、救世主が状況/人を変え/何かを残して行く、、
無念ながら亡くなる者もいる。
真の悪党は悪党のまま。

メイン2人、
今と然程変わらないが、若干シュッとしてたダニエル(32)。
脱ぎサービスもあった
ショートカットのトニコレ(28)の最盛期と言えそうな美人っぷりが際立っていて、昔好きだった頃を思い出した。

メイン2人に固執/執着せず、
ダレ知らずのエピソードを散りばめ、全てしっかり回収し、90分で収める脚本が秀逸。
クライマックス〜ラストまでの イッキ があれば完璧だった。惜しい⤵︎
内容も撮影も緩急が効いている。
ムードにマッチした劇伴も良き。

退廃したシュールな世界観は、
【デリカテッセン】
+健康/スパあれこれは、
【ケロッグ博士】を想起した。

また、
レトロなホテル内のほぼ暗い画にも関わらず、自然なライティングが素晴らしく、DVDの一層収録じゃ勿体なく、是非Blu-ray化で再現すべき!


ビンタレベル★★★★☆
こぅ

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