ある事件を迎えるまでのそれぞれの人生が断片的に積み重なっていくお話
面白すぎる。ただ人の人生の断片を見せつけられるだけにも関わらず印象的な長回しとハネケらしい嫌な空気感が詰まっていて最高。誰に寄り添うわけでもなく突き放したカメラは登場人物の誰の感情を強調することもなく、その「感情の無さ」はラストの出来事に最悪の形で発揮される。いくらでも感情的に描写できそうな場面すら冷めたカメラで映し出し、ニュース映像を挟むことで顕にされることなかった感情が表出される。(少年へのインタビュー映像とそれを眺めている人々の構図など)しかしそのニュース映像すらも時間のシステムの一部として組み込まれ、事件に巻き込まれた人=紛争で命を失った人とその家族も忘却される存在として描写されるからやはり徹底的に突き放している。
卓球の長回しが最高。