千年女優

王の男の千年女優のレビュー・感想・評価

王の男(2006年製作の映画)
3.5
16世紀初頭の李氏朝鮮。綱渡り芸を得意とする道化師で、類まれな美貌を持つ女形のコンギルが男娼として売られるところを救い出して共に漢城に訪れたチャンセン。義禁府に捕らえられるも燕山君を笑わせて逆にお抱えとなった彼らが、コンギルが懇意にされることで悪女と名高い張緑水から嫉妬を買って翻弄される様を描いた史劇映画です。

映画監督兼プロデューサーとして地道な活動を行っていたイ・ジュニクが韓国芸術総合学校教授のキム・テウンが書き上げた戯曲にほれ込んで映画化した2005年公開の作品で、低予算映画ながらも口コミが広まって累計1230万人超の観客を呼び、当時の韓国映画史上最高の動員数を記録する大ヒット作となって、その年の映画賞を席捲しました。

史劇が持つ貫録を失わせない実直なお話運びと低予算を言い訳にしない美術で「おとぎ話」としての完成度を高めています。一方で大衆の噂話的俗っぽさ故に薫陶を与えるようなテーマ性までの昇華を妨げていますが、出世作としたイ・ジュンギや朝鮮三大悪女の一人を演じたカン・ソンヨンらの素晴らしい存在感が説得力をもたらす一作です。
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