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知りすぎた少女のくりふのレビュー・感想・評価

知りすぎた少女(1963年製作の映画)
3.0
【ローマの厄日】

U-NEXTにて。20歳のアメリカ娘がローマの叔母を訪ねるが…事件に巻き込まれ、孤立もしてさあタイヘン!てお話。初見でヒロインが印象的だった記憶はあるが、物語はよく覚えていなかった。

ジャッロ映画の原点と言われるが、ホントにそうなのかな?トホホ脚本でハッタリ優先、ということなら、確かに当たってますが。

マリオ・バーヴァ監督自身が“プロットがばかげていると考え、映画の技術的な側面に重点を置いた”そうですが、その通りですね。

撮影(&編集)は素晴らしい!特に導入、始めの死者発生までが、程よくシャープで惹き込まれます。モノクロの活かし方!ヒロインのベビードール姿もむふふにステキ。

が、犯人も犯行も現実的でなく、観客にとっては他人事みたいな顛末で、“夢オチ”さえ匂わせてくる。これじゃほぼ、ノレない。

『血ぬられた墓標』の3年後に作られたが、ヒロインのレティシア・ロマンはどこか、顔立ちがバーバラ・スティールに似ている。せっかく、逆境と闘える顔なのに、敵がアッチョンブリケなんだよね…。

モノクロに映える、彼女の美貌は見応えあります。でも、女優としてはその後もイマイチだったのかな?ラス・メイヤーのトホホ作『ファニー・ヒル』なんかに出ているし。

ところで、ヒロインは少女ではないよね。原題のLa ragazzaには少女の意味もあるようだが、女性や娘など、幅のある言葉らしい。この看板に偽りアリ感、も損していると思う。

イタリア本国でも本作はコケて、赤字だったそうな。これを原点として、儲けるためにゲテモノ化してゆくのがジャッロ映画の流れだとしたら、それはそれで、わかる気もしますが…。

<2024.3.19記>
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