さうすぽー

ベン・ハーのさうすぽーのレビュー・感想・評価

ベン・ハー(1959年製作の映画)
3.6
自己満足点 70点

「ローマの休日」のウィリアム・ワイラー監督が約50億円を投じて作られ、アカデミー賞の各賞を総なめにした3時間42分の大作。

自分は7年ほど前に地元のコンサートホールで行われた無料上映で鑑賞していたのですが、今回連休中に親が観たくなったとのことで2日間かけて久々に再鑑賞しました。


今観ても相変わらず圧倒されるスケールですね!
CGの技術が殆ど無い時代というのもありますが、実写でローマ帝国の王宮の様子や騎士達の行進等を再現してるのも本当に圧倒され、「この映画を再現することは不可能」と言われる理由が理解できます。

一番有名な競走馬の場面は本当にスリリングで圧巻です!
イタリアの有名なチネチッタでセットを作って撮影したそうなのですが、まずあのコロシアムを再現したことが素晴らしいです。
それから、音楽が一切流れない中で走る4頭の馬で走る競走馬は本当に走らせて本当にレースを行っているからか、観ているこちらまで非常にハラハラしてしまいます!
実写再現したのは素晴らしいことですが、これを今やるとなるとかなり厳しいと思いますね。(いや、絶対に出来ないか)

あと個人的に主人公や馬主が馬に話しかけてる場面が好きです。
恐らく馬主も主人公もアドリブで馬に話しかけていて、普段から積極的に馬と交流していたと考えられます。


また、劇中の音楽も好きです。
特に冒頭の「OVERTURE」で流れる6分間にわたるオーケストラ曲が素晴らしいです。
普通だったら全く動かない静止画を6分間観させられると絶対に退屈に感じたりテレビだと飛ばしたくなりますが、こちらは曲がドラマチックで壮大なので全くスキップしようと全く思えません!


演技も本当に皆さん素晴らしい!
さすがハリウッドの黄金時代という感じですが、今の俳優がやると臭く感じてしまう場面でも俳優陣の素晴らしい演技でより感動が大きなものにさせている気がします。

なので、奴隷に堕ちてしまった主人公が這い上がる様や家族とのやり取りが非常に熱く感じます。


...ただ、そんな名作の映画を観たときにオールタイムベストになることを願ったのですが、残念ながら好きじゃない部分も少なからず出来てしまいました。

というのも、この映画のストーリー的には長くても3時間程度に納められるくらいの内容に感じるからです。
内容的には面白いとは思うのですが、さすがにインターミッションを含めて3時間42分まで伸ばしてしまうとさすがに長く感じてしまい、退屈に感じます。
とくに、冒頭から主人公が友達に裏切られる話までの道筋やラストのエピソードが凡庸で退屈に感じました。

ラストの内容に関しても好きではないです。
この映画は全編を通してキリスト教色の強い映画ではあり、途中でイエス・キリスト本人が顔を隠した状態で登場するのですが、それ自体は悪くないと思います。
ただ、ラストの主人公の母と娘の展開に関してはあまりにも現実離れしており、キリスト教のプロパガンダっぽさが見え見えで結構ガッカリしました。
自分は特定の宗教を信じていないのでキリスト教にもそこまで興味はありませんが、キリスト教を扱った傑作の映画は少なからず観てきました。
ただ、それはキリスト教の魅力ある部分と負の部分を映してるものに限ります。
正直ラストの展開は、とある日本の若手女優がいる某宗教映画とやってることがあまり変わらなくて嫌悪感を抱きました。


正直この名作映画を「凄い!傑作だ!」と心から言えない自分に少し悔しさを感じますが、今では出来ない迫力のある映像を楽しめるだけでも充分でした。