安堵霊タラコフスキー

カンウォンドの恋の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

カンウォンドの恋(1998年製作の映画)
4.9
カンウォンドでの二人の男女、それぞれの恋愛模様を描いたオムニバス作品で、好きなものが多いホン・サンス作品の中でも特に好きな一本かもしれない

まずカンウォンドの風景が爽やかで美しいものばかりで、そんな風景をただ眺めているだけでも穏やかな気持ちになったし、そんな風景を無駄なカットを挟まず最低限のカット割りで映し取った監督の手腕も抜群で、これほどの地力があるから後期の雑な撮り方にも趣ぐ感じられるのかと感服した

そして内容の方は、別角度の同じシーンを一回だけ入れて、あとはそんな関係のない女と男を主役に添えた浮気や恋愛未満の話をするのかなと思い、それでもホン・サンスらしいウィットの富んだ展開も相変わらず良いなと満足していたけど、実は最後の方でそんなこともなかったと判明したのは少し予想外

クライマックスのプレイはちょっといらなかったかなとも思ったけど、全体的に本気を出したホン・サンスのエドワード・ヤンやアピチャッポンに匹敵する底力が垣間見えたので大満足の作品だった