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ポッピンQのmitoのレビュー・感想・評価

ポッピンQ(2016年製作の映画)
2.3
東映アニメーション製作。

中学3年生、各々様々悩みを抱える少女5人。
卒業式の日。彼女達は綺麗な石を拾い、気が付くと見知らぬ世界へたどり着いていた…。

「君の名は」の成功を見て、「勝負できる!」と確信した東映アニメーションが、元々、もう少し後の公開だったのを年末に繰り上げたという曰く付き(笑)作品。

しかし、観客側は予告編の時点で対象年齢の不透明さ、オタク寄りに見えてしまうキャラクターに不安視している声も少なくなかった。

正直、キャラデザの黒星紅白さんは昔から大好きなイラストレーターだったので、キャラクターはかなり好き。話も大筋は悪くない…悪くない。
まあ、不安視していた要素は多めに見るとして、それ以上に致命的なのは大筋よりも細かいディティールの部分。
兎に角、端折ったようなストーリーテリング、設定の説明や根拠が全く明示されていないので、取って付けたかのように話が解決していく事が大問題だと感じた。

まず、この映画の肝である、ダンスが話の設定にマッチしていない。
世界を救う方法、それがダンス!と言うのだが、踊ると何でそんなパワーが発生するのか、と言う部分の根拠が全く示せていないので本当にただ、アイマスやラブライブ以降の流行にあやかっているようにしか見えないのが残念。取ってつけた根拠でいいので何かしら、説明があれば問題なかった。根拠が無いという点では同位体のポコンの妹がしゃべれない理由が「ある事件がきっかけで」と述べられ、何でかを明かしていない。これも適当に理由付けしておいて欲しかった。

次はメインどころの心理描写の不十分さ。一番のメインである陸上部の伊純については心理描写も含めかなり深いところまで描いており、彼女が問題を克服する段取りはしっかりしている。しかし、他の3人は伊純の問題解決と合わせてしれっと解決した事になっている。登場人物毎にしっかり問題と対峙する場面があればもう少し何かを感じられる作品になってた筈。

個人的には、この映画、ダンス要素を完全に排除して、後述する人物描写に力を入れていればかなり良い塩梅になっていたのではと思っている。

兎に角、全体的に描写が薄い。この点に終始し、どう考えてもTVアニメでやるべき題材。寧ろ、TVでやってればそれなりの支持率を得ていたのでは?とさへ思う。TVアニメならば上映後のお楽しみみたいな事まで発展できた筈。

まあ、かなり勿体無い作品だ。
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