緑

不思議惑星キン・ザ・ザの緑のネタバレレビュー・内容・結末

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ロシアにも優れたバカがいるとよくわかる
ポンコツSF。(褒めてる)
「クー!」とその際のポーズで完勝。
思いついたバカは天才。
鼻輪もどきに鈴とか悪ノリしか感じなくて最高。
異星で価値あるものがマッチなのも秀逸。
怒ったときに顎から上に向けて叩くのも
舐めてる感あって素晴らしい。
黄ステテコに小人がいたのもいい。

年長者の技師と年少者のバイオリン弾き(弾けない)が
異星に飛ばされて戻る話。
飛ばされた先にはがめつくて小狡い連中しかいない。
でも憎めない。
根っこがみんなポンコツであり、
音楽好きなところや程よいみすぼらしさ加減なども相まって、
むしろちょっと可愛げすら感じる。

事あるごとに金や価値あるものの奪い合い。
被差別者は檻の中で芸をして金品を得る。
階級が一目でわかる人種判別装置に
赤ステテコ/黄ステテコ。
途中で寄った星は荒廃した無人星と
花と緑でいっぱいのディストピア感しかない星。
風刺の意味合いがありそうだが
具体的に当時のソ連とのリンクはわからず。
でも押し付けがましさや説教くささはないので
そのまま受け入れ楽しめた。

第一章の最後にバイオリン弾き(弾けない)が
地球に戻っているシーンがあるが、
あれはなんだったのか。
説明もなく不親切だがそれも良しと思える作品。
第二章の冒頭に異星での用語集。
極限られた言葉以外は全部がクーだとあったが、
それまでもその先も結構みんないろんなことを喋っていた。
そもそもなんで最初に出会ったふたり以外も
ロシア語を理解できるようになっているのかもわからない。
一部の人が理解できたら全人類に共有される
超絶システムでもあるかのよう。
クー+いくつかの言葉だけで徹底できていないことが微笑ましい。

ラストでは技師もバイオリン弾き(弾けない)も
地球に戻ってきていた。
記憶を失いつつもランプに反応してふたりとも「クー!」。

なにがなんだかよくわからないのに
あのポーズで終わられたらハッピーエンドと認めざるを得ない。

尚、「クー!キン・ザ・ザ」より
こちらのほうがずっとおもしろく可愛げがあった。
好みの問題もあるだろうが、
あちらのほうが優れていると感じたのは
荒廃した星での重力の違いがわかる動きのみ。
こちらだけ観れば十分だった。
緑